健康状況や送迎時間等の連絡だけでなく、子どもの情報を保護者と交換するうえで役立つ「連絡帳」。
しかし、保育士さんの中にはその活用に悩みを抱えている方もいらっしゃるのでは?
今日は学校では教わらない、伝わる「連絡帳の書き方」についてご紹介します。
【初級編】”伝わる連絡帳”のために!5つのポイント
保護者にとって、仕事で様子を見られない時間の我が子を知る手段となるのが連絡帳。
「今日はどんな遊びをしたのだろう」「○○ちゃんとは仲良くできたかな」
そんな保護者の思いに答えて上手く様子を伝えてあげたいものです。
でも、なぜかうまく書けない。きちんと伝えることが出来ない……。
そう悩む方は、まずは基本の5つのポイントをチェックしてみましょう!
例文も参考にしてみてください。
基本の【5W1H】で伝えられている?
いつ(When) どこで(Where) だれが(Who) なにを(What) なぜ(Why) どのように(How)で伝えることはわかりやすい文章の基本です。
すべての要素をきちんと加えれば、様子が目に浮かぶ生き生きした文章になります。
出来事の報告のみにならず、子どもの様子や感情が書けている?
例えば「砂遊びをした」という同じ出来事でも、作るものも、お友達との関わり方も異なります。
【例】”スコップを○○ちゃんに貸してもらって「ありがとう」とお礼が言えた。”
そんな小さなエピソードでも具体的に書くことで様子が伝わりやすくなります。
事実をベースに、状況が伝わるように書けている?
「楽しそうでした」「ご機嫌ナナメでした」というフレーズは使いがちですが、保育者の主観ではありませんか?
【例】”年長さんと鬼ごっこをして、声をあげて笑いながら園庭をかけ回っていました。”
事実をもとに伝えるよう心がけましょう。子どもの発言を記すのもおすすめです。
正しい言葉づかい、読みやすい文章になっている?
「バリバリ働いている保護者に書くから……」と気負って、あえて難しい言葉を使ったり賢そうにみえる文章を使う必要はありません。
句読点(「、」や「。」)を使い、分かりやすい言葉選びや文章を書きましょう。
記事の後半で紹介する本も参考にしてくださいね。
肯定的で明るい内容になっている?
事実を書くだけではネガティブになることも、切り口や書き方を変えればポジティブに、保護者に受け入れやすく伝えられます。
たとえば、「ニンジンを残してしまいました」と結果のみを書くのではなく、
【例】”○○ちゃんは苦手なのに目をつぶって一生懸命食べようとしていましたよ。”
このように子どもの頑張る姿を伝えてあげると保育者の温かく見守る姿勢が伝わります。
園での支援体制や前回と比較しての成長を盛り込んでも良いでしょう。対応を一緒に考える姿勢を伝えて行きましょう。
「書くネタがない!」と悩んだ時は?
たくさんの子ども達を見ていると「一人ひとり今日どんなことをしたか思い出せない」「連絡帳に書くネタがない」と日々ネタ切れに悩むことも。
たとえば、保育のお仕事で取材した園ではこのような工夫をしていました!
新卒の保育者には始めは「区切って」見るようにしてもらいます。
保育室全体を漫然と見ても、一人ひとりの様子は見えてきませんので。たとえば、毎朝「おはよう」って子どもが入ってくる入り口「だけ」を見続けてもらう。
16人いたら、16通りの入り方があるし。同じ子でも昨日と今日で振る舞いが違うと気づけます。
取材レポート「上町しぜんの国保育園 small pond」より
保護者からの信頼度がアップする連絡帳の活用法
保護者が記入した連絡帳には家庭での出来事や子どもの様子、中には保護者自身のことや悩みが書かれていることも。
保護者からのメッセージが、保育のヒントになることもあります。
たとえば「昨日大切にしていたおもちゃが壊れてしまって…」などと、連絡帳に書いてあれば、子どもの元気がないときに「○○君、元気がないのはそのせいかな…?」などと見当をつけられます。
保育に不可欠となる体調などの情報交換だけでなく、家庭や保育園での出来事をお互いに伝える、いわば「交換ノート」のように活用してみましょう。
連絡帳は保育士と保護者双方にとって話題作りや子どもへの対応に活かせるものになるのです。
連絡帳と二重で! トラブルは口頭でも説明を
ケンカやケガが生じてしまった…、保護者から子ども同士のやりとりについて質問があった…そんな繊細で記載しにくいことを書かなければならない時、文章のみでのやり取りは、トラブルや誤解が生じることもあります。その際は、次のことに気を付けましょう。
- 主任の先生や園長先生など上席に相談したうえで記入する
- 事実だけではなく、発生した経緯やその後の対応、今後園で注意する点など、きめ細やかに記入する
- 文書報告のみでなく、保護者と実際に話をして誤解の発生を防ぐ
文章は時として意図する意味と異なって捉えられてしまうこともあるうえ、口頭での会話と異なり形として残るものです。
迷った時には一人で判断せずに周囲と相談すること。
文章で伝えきれない部分に関しては保護者が不安にならないよう、誠意をもって説明し、必要に応じて謝罪することが大切です。
読みやすい字で書くための、カンタン!美文字トレーニング
字がキレイじゃないから読みづらい…これもよく聞かれるお悩みの一つ。ここでは少し心がけるだけでカンタンにきれいな字を目指せる、そんな動画をご紹介します。
【中級編】連絡帳記入の時短のコツ
時間内になかなか終わらないなど、苦戦されている先生方も多いはず。
「伝わる内容」が書けるようになってきたら、記入時間の時間短縮も意識してみましょう。
連絡帳は手書きをやめて、「パソコンで記入、アプリで公開」するなどIT化で時間短縮を実現させたという園も増えてきましたね。
連絡帳はもちろん大切なコミュニケーションツールですが、なにより目の前の子ども達と向き合うことに時間をかけたいもの。
- 書き出しや締めの一言の例文をいくつか決めてお
- 読みやすい字を心がけつつ、速く書けるような練習をする
- 言葉づかいで迷う時間を短縮するために電子辞書などを活用する
- 「連絡帳に書くことメモ・ネタ帳」をつけてお
先ほど紹介した本や保育雑誌などには連絡帳やおたよりに書く例文が紹介されています。
連絡帳に書く引き出しを増やすと、「何を書こうかな」と迷う時間を減らすことができます。
これらの記事もIT化や時間短縮のヒントがありますのでぜひ参考にしてください。
こちらの記事からは中身の一部をご紹介しています。
編集者より
少ない時間の中で、子どもたち一人1人ひとりの連絡帳を丁寧に書くことは、本当に大変なことです。
先日、知人の連絡帳を見せてもらいましたが、記入を担当する保育士さんによって、書き方はまちまち。しかしどの方も一定のルールに則って、うまく子どもの様子を伝えていました。
連絡帳をうまく活用して、保護者との連携づくりやトラブル防止、保育の質の向上に役立てられると良いですね。
参考文献・サイト
- 浅井 拓久也,2019『先輩保育者が教えてくれる! 連絡帳の書き方のきほん』翔泳社