「ごはんを食べてくれなくて…」「忙しくて朝食を作る時間がない…」近年子どもの朝食代わりにお菓子を食べさせるケースが増えているようです。本日は読者の皆さまの意識について、アンケートを行った結果をご紹介するとともに、子どもが朝食としてお菓子を食べることや、何も食べないことで生じる弊害、また朝食で摂取したい栄養について考えてみましょう。
朝食にお菓子…アンケートでは63%が「なし!」と回答
先日読者の皆さまに「子どもの朝食にお菓子を与えて登園させるのはありか、なしか」について意識調査を行いました結果、63%の方が「なし」、20.5%の方が「あり」と回答される結果となりました。また16.4%「どちらともいえない」との回答もありました。
・実施期間:2014年11月7日~11月11日
・実施対象:
保育士(71.2%)・幼稚園教諭(6.8%)・
その他保育関連職(1.4%)・学生(2.7%)・
主婦(9.6%)・その他(8.2%)
・回答者数:73人
・平均年齢:33.7歳
・男女割合:女性/97.3% 男性/2.7%
- 「なし!」派の皆さまのご意見
- ◆ お菓子では必要な栄養もとれないと思います。朝ご飯は脳を働かせる大切な役割を持っています。食べてこない子は日中の活動でイライラしたり、よくあくびをしたり集中力がないです。(保育士/20代女性)
- ◆ いち保護者として、朝の時間はホントに戦争のようなものです。朝食を用意しても食べないことはあります。でも、最低でもパンやフルーツなど、軽食だけでも食べさせています。(幼稚園教諭/20代女性)
- ◆ 食べなければお菓子がもらえるという考えが根付いてしまったら保育園でも手に追えません。また朝ごはんがお菓子という子は活動面にも支障がでます。(保育士/20代女性)
- 「あり!」派の皆さまのご意見
- ◆ 何も食べてこないよりはマシ…と妥協して。…しっかりと食べてくるのが基本ですが!(保育士/20代女性)
- ◆ 何も口にせずに来所するよりはお菓子でも何でも口にしてから来所してくるほうが良い気がするので… 空腹の状態で来所して元気がない姿を見るのもつらいです…(保育士/30代女性)
- ◆ 朝の忙しい時間、時間に合わせ、子どもの好みにあわせたご飯を作るのは至難の業。朝から食べられない子もいるし、朝ママと別れるときに「早くしなさい、ちゃんと食べなさい」と言われながらじゃ頑張れない…栄養ももちろん大切だけど食事は楽しくなくちゃ心の栄養にならない…。(保育士・3児の保護者/40代女性)
- 「どちらともいえない…」ご意見
- ◆ 何も食べないよりはという親の気持ちはわかりますが、保育者として、それが子どものためなのかなと疑問に思うことも多々あります。(保育士/20代女性)
- ◆ 変な習慣を、身に付けさせるのはよくないが、食べさせないと子どもがかわいそう。(保育士/20代女性)
- ◆ 私個人としては、”なし”ですが先輩いわく空腹よりはまし。何かをおなかに入れただけエライよ…と…(幼稚園教諭/40代女性)
皆さまの意見をすべてご紹介できないのが心苦しいですが他にも
・キチンと食事をしないと朝から眠ってしまう子どももいる
・おにぎりや、せめてスティックパンや惣菜パンなど工夫して与えてほしい…
・お菓子を食べさせる場合にも与えるお菓子の種類を選ぶべき
…などさまざまなご意見をいただきました。仕事を持つ保護者の事情に考慮して、代金を徴収したうえで園で朝食を与えるというケースもあるようです。
「食べない」のデメリットと「お菓子だけでも食べる」デメリット
ではお菓子を朝食代わりに食べること、また何も食べさせないこと、それぞれ子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?
朝食を食べないとどうなるの…?
朝食は1日のスタートを快く切るためのいわば”燃料”のようなもの。それなしには体も頭もうまく働きません。また、人間の体は空腹の状態に何時間も耐えられるようにはできていません。無意識のうちに体が「飢餓状態である」と認識してしまい、肝臓に脂肪を蓄えようとしたり、お昼ご飯で摂取したカロリーをためこみやすくなり、肥満にもつながってしまいます!
- 朝食抜きが子どもに与える悪影響
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◆脳のエネルギー不足により集中力が低下する
◆栄養不足の状態が続くことでイライラしたり疲れやすくなったりする
◆体温が上がらず、体が目覚めないためにボーっとする(ケガにもつながりやすい)
◆太りやすくなる
◆消化器の動きが鈍くなり便秘がちになる
◆家族のコミュニケーション不足にもつながる
朝食=お菓子ではいけない理由とは…?
では食べてくれるならばお菓子でもよいか…というと、それもまた別の弊害をもたらしかねません。ブドウ糖は脳のエネルギー源ですが、集中力をアップさせるための脳の神経伝達物質はタンパク質を原料に、ビタミンとミネラルの力を借りて合成されるもの。栄養バランスの偏りがちなお菓子では、頭や体の活性化には不十分でしょう。また血糖値の急上昇が後々の肥満や生活習慣病をもたらす可能性もあります。
- 朝食に食べるお菓子が子どもに与える悪影響
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◆血糖値の上昇でインスリンが大量に分泌され、余った糖が脂肪になりやすい
◆朝は代謝機能が万全ではなく、高カロリーなお菓子の代謝が間に合わずにだるさが取れない
◆栄養素が偏り本来朝食を食べることで得られるメリットに結びつかない
◆食べなければお菓子をもらえる…という意識に結びつき偏食になりやすい
◆より通常の朝食を食べたがらなくなる可能性がある
幼児の朝食に必要な栄養素って?
厚生労働省は理想的な朝食を「主食・主菜・副菜がバランスよく含まれている食事」としています。主食はパン・ご飯などの炭水化物、主菜は魚や肉、豆製品などのたんぱく質、副菜は野菜などビタミンやミネラルが補給できるもの。からだをつくる時期だからこそ、朝食でもバランス良く栄養素を取り入れる必要があります。
朝食で積極的に摂りたい栄養素の一例 | |
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炭水化物 | 体や脳のエネルギー源となるもの。ごはん、パンなどの主食に含まれます。 |
たんぱく質 | 体温を上昇させ、筋肉や骨などをつくるため成長には不可欠。肉類、魚類、大豆などに多く含まれます。 |
カルシウム | 歯や骨をつくり、神経伝達物質のやりとりをスムーズにします。 |
ビタミンD | カルシウムの骨への定着を助けてくれます。卵黄などに多く含まれます。 |
ビタミンC・A | 抵抗力を高めるビタミンCや、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAは、風邪やウイルス対策にも。 |
ビタミンB2 | エネルギー代謝や細胞の再生を促します。魚類のほか、プレーンヨーグルトなどにも含まれます。 |
編集者オススメ!お手軽朝食メニュー
栄養バランスの重要性はわかっているけれど、朝は忙しいしなかなか子どもが食べてくれなくて…そんな悩みを持つ保護者の方は多いもの。そんな時には、時間短縮や手軽で食べやすいメニューのアドバイスをするのも、ひとつの解決方法です。今回は忙しく食欲のない朝でも手軽に食べられる、簡単なレシピを3つチョイスしてみました!
キュートなロールサンドイッチ
サンドイッチはハムのたんぱく質、チーズのカルシウムなどバランスアップにオススメのメニュー。こんなカワイイロールサンドなら、寝坊した時でも、食が進まない時でもぱくっと食べられそうです。
ミックスベジタブルとチキンのおにぎり
ミックスベジタブルとチキンの色合いも鮮やかなおにぎり。ケチャップライスにして薄焼き卵で包めばオムライス風にもアレンジ可能です!
ビタミンミネラル豊富!ドライフルーツとナッツのスコーン
クッキーなどのお菓子朝食に慣れてしまっているお子さまには、手作りのスコーンはいかがでしょう?ドライフルーツには食物繊維、ビタミン、ミネラルなどがギュッと詰まっており、例えばドライリンゴのビタミンCはフレッシュフルーツの53倍!たんぱく質も含まれるナッツと組み合わせればおやつ風でもバランスアップが期待できます!週末に作りためて冷凍してもOK。ヨーグルトとも相性抜群でおススメです。
朝食を食べない…原因となる生活リズムに気を付けよう!
どうしても子どもが朝食を食べてくれない…そんなときには一度立ち止まって、何か原因がないか考えてみることも大切です。家庭の環境から無意識のうちに朝食を食べられない習慣ができてしまっていることもありますので、意識して直していくよう心がけましょう。
- こんなことはありませんか?
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【一度お菓子をあげたらお菓子しか食べなくなった】
お菓子なら食べるから…と一度与えると、子どもは食べなければお菓子を与えてもらえるものと思ってしまうそう。ダメなものはダメという姿勢をとり、お菓子の朝食が習慣づいてしまっている場合にも少しずつ修正していく必要があります。 -
【夜の就寝時間が遅い】
睡眠不足や夜の食事が遅くなることから、朝食を食べられなくなっていることも考えられます。保護者の夜食習慣や、眠らないのでついおやつを与えてしまう…という生活リズムの乱れを修正すると、朝に空腹を感じやすくなります。 -
【朝の起床が遅い】
睡眠時は胃腸の動きが鈍く、目覚めた直後すぐには活動的にならないもの。朝食の直前まで寝かせておくと、空腹感を感じづらくなってしまうため、早めの起床を心がけましょう。 -
【便秘の症状がある】
便秘になる腸の動きが鈍くなり、他の消化器にも悪影響をおよぼす可能性があるといわれています。朝食を食べない習慣が、便秘を引き起こし、それがさらに空腹感を感じない原因になっていることも考えられます。
編集者より
朝食を抜いたりお菓子で済ませたからと言って、すぐに大きな不調が現れるわけではないでしょう。しかし日々積み重なっていけば…と思うと、たかが一食とはあなどれません。
子どもの将来の健康のため、食べないことの原因も含めて考え、できる限り栄養バランスの整った食事をさせてあげたいものですね。
アンケートにご協力いただきました皆さま、貴重なご意見をありがとうございました!