保育の基礎知識

【0歳児との接し方】~発達の目安とかかわり方のポイント~

日々めざましいく成長していく0歳の赤ちゃん。まだ言葉も話せず意思の疎通が難しいなかで「どうやって接してあげたらいいんだろう…」と悩んだことがあるママやパパ、保育士さんはいませんか?

今回は0歳の赤ちゃんの心と体の発達についてご紹介しながら、0歳児とのかかわり方のポイントや注意点をご紹介していきます!

赤ちゃんの才能を引き出せるのは0歳の今!

赤ちゃんのイラスト
ひと月毎にどんどんできることが増えていく0歳の赤ちゃんたち。その姿はまさに「可能性の塊」ともいえるでしょう。

脳科学においては「才能逓減(ていげん)の法則」という法則が注目されており、人が持つ才能をもっとも多く引き出せるのは0歳のときであるとしています。また教育経済学においても、教育の費用対効果がもっとも高い年齢が0歳だとする研究結果があるそうです。

だからこそ、0歳の赤ちゃんには、大人の適切なかかわりや支援が必要なんだね!

0歳児の心と体の発達の目安

0歳児
子どもの成長を支えるうえで、「今どのような発達段階にあるのか」を理解することは適切な支援の第一歩です。まずは0歳の赤ちゃんについて、月齢別に心と体の発達の目安を確認していきましょう。

生後1カ月

体の発達
・生後10日前後は生理的体重減少がある
・週に250g程度の体重上昇がある
・内臓が未発達で1日におしっこ20回、うんち5回前後の排泄がある
・ほとんどの時間を寝て過ごし昼夜の区別がない
・母親の声が聞き分けられる
心の発達
・不快な感情を泣いて表現する
・追視が徐々にできるようになる
・働きかけに手を握る、足を縮めるなどの反応を示す

生後2カ月

体の発達
・筋肉が発達し手足を活発に動かす
・「あー」「うー」といったクーイングが盛んになる
心の発達
・顔を動かして追視をするようになる
・音を聞いたりものを見て喜んだりとする

生後3カ月

体の発達
・この頃までの視力は0.02~0.03程度
・手足を良く動かすようになる
・指しゃぶりが始まる子もいる
心の発達
・笑う、泣くの感情表現が豊かになる
・音のする方に顔を向けるようになる
・自分の体に気付いて見つめたり触ったりする

生後4カ月

体の発達
・首がすわりはじめる
・腹ばいで首を上げることができるようになる
・握力が強くなりガラガラなどを徐々に握りはじめる
心の発達
・興味のあるものを見つめたり音のする方を見つめて聞いたりする
・あやされると声を出して笑い、嬉しそうな様子を見せる

生後5カ月

体の発達
・体をねじる動きから寝返りが打てるようになる
・起きている時間が徐々に長くなる
・離乳食も始まる
心の発達
・視覚と行動を結び付けられるようになり、おもちゃに手を伸ばす
・大人が食べているものに興味を示す

生後6カ月

体の発達
・身長が1カ月に1センチ程度伸びる
・夜間の授乳がなくなり昼夜の区別がでてくる
・寝返りが活発になってくる
・早い子は歯が生えはじめる
・少しの間お座りができる子も出てくる
心の発達
・興味のあるものをつかむなど能動的になる
・隠したものが出てくることが予想できる
・手にしたものを口に入れて確認しようとする

生後7カ月

体の発達
・睡眠のリズムが整ってくる
・手の動きがより活発になる
・お座りができるようになる
・この頃までには視力が0.04~0.08程度になる
心の発達
・好奇心が広がる
・欲しいものを見て声を出す
・母親がわかるようになり、いないと泣く
・人見知りが始まることもある

生後8カ月

体の発達
・すりばいなどで自ら移動する
・小さなものも掴めるようになってくる
心の発達
・好奇心がより強くなり探索行動が盛んになる
・感情表現がいっそう豊かになる
・相手の様子や表情から気持ちを読み取ることができるようになる

生後9カ月

体の発達
・手掴み食べが多くなる
・離乳食の2回食が定着する
・ハイハイや後追いが始まる
・手指が発達してきて積み木同士をぶつけるなど細かな動きも可能になる
心の発達
・欲しいものを指し示して意思表示するようになる

生後10カ月

体の発達
・つかまり立ちや伝い歩きをする場合もある
・成長が著しく昨日届かなかったものに手が届くこともある
・「喃語」が徐々に出はじめる
心の発達
・簡易な言葉を理解するようになる

生後11カ月

体の発達
・ハイハイのスピードが速くなる
・つかまり立ちや伝い歩きが活発になる
・大人の言うことがだいぶ理解できるようになる
心の発達
・ものと言葉とを結びつけて記憶する
・動作と言葉とをつなげることができる
・模倣(まね)が始まることもある

生後12カ月

体の発達
・通常の幼児食に変わりはじめる
・歩きはじめる子が出てくる
・最初の一語が出はじめる
・手先が器用になってくる
・視力はだいたい0.1以上ある
心の発達
・記憶力が育つ
・模倣活動が頻繁になる
厚生労働省の「平成22年度 乳幼児身体発育調査」によると、
0歳児の赤ちゃんは生まれてからたった1年のあいだに、身長が25cmも伸びるんだよ!
体重は1年間で6kgくらい増えるホィ。
個人差はあっても、みんなすくすく育っていくホィね。

発達には個人差がありますので、かならずしも目安どおりの発達を示すとは限りません。月齢に関わらず、子どもの発達状況や、今育ちつつある力を見こして、大人が積極的な働きかけをしてあげることが大切でしょう。

0歳児との関わり方のポイント

 

【0~1カ月】

スキンシップをしながらお世話をしよう

泣くことは子どもが不快な状況を大人に伝える唯一の伝達手段。目線を合わせて優しく声をかけながら、そしてたくさんスキンシップをしながら、不快な要素を取り除いてあげるようにしましょう。

おむつはすぐに取り替えてあげよう

最近の紙おむつは吸水性も高く、数回のおしっこは吸収できてしまいますが、おむつかぶれ予防のためにもこまめにチェックして、濡れたら早めに取り替えましょう。

語りかけてから行動に移そう

赤ちゃんは高くてやさしい声に安心感を持ちます。
おむつを替えるときや、抱っこをするとき、「抱っこしようね~」などとやさしく語りかけてから行動に移すようにしましょう。

◆こんなところに注意!◆

抱っこや寝かしつけの際に強く揺さぶらないようにしましょう。また頭蓋骨がまだくっついていないため、大泉門(だいせんもん)という隙間が空いています。強く押さないように注意しましょう。

1カ月~2カ月

顔を近づけてコミュニケーションを!

追視が始まりますが、まだ視力が未発達ですので、なるべく顔を近づけて、まずは狭い範囲から顔を上下左右に動かすなどしてあやしましょう。

赤ちゃんの反応を楽しもう

あやすと反応を示す赤ちゃんも出てきます。体を触ったりクーイングに応じてオウム返しをしたりしながら、コミュニケーションの機会を多く作りましょう。手遊び歌を歌いながら手足を動かしてあげるのもオススメ!

外の世界とのつながりを作ろう

そろそろ外気浴をはじめましょう。外の世界には赤ちゃんにとって新鮮な刺激がいっぱい!音や光、においなど、おでかけ中に気づいたことを話しかけてあげましょう。

◆こんなところに注意!◆

まだ首がすわっていないため、お散歩は短時間にとどめましょう。また室内では、赤ちゃんの目線で危険がないかを常にチェックするようにしましょう。

3カ月

音を使った遊びを取り入れよう

音のする方向がわかるようになり、興味を示すこの時期。ガラガラなどのおもちゃや手拍子を使って好奇心を刺激しましょう。

赤ちゃんの感覚を刺激しよう

自分の体に気付く時期でもあります。手足を伸ばしたり、いろいろな部分をタッチしたりと、赤ちゃんの感覚を刺激することで、体の認識にもつなげることができます。

いろいろな表情を見せてあげよう

表情が豊かになってくるこの時期の赤ちゃんは、大人のしぐさや表情にも興味津々です。あっぷっぷなど顔を使った遊びで、さまざまな表情を見せてあげましょう。

◆こんなところに注意!◆

お散歩でもいろいろなものに関心を持つようになりますが、まだ長時間の外出は負担になってしまいます。その日の天候や赤ちゃんの体調など、様子を見ながら短時間にとどめましょう。

4カ月

生活リズムを保とう

徐々に昼夜の区別がつくようになるため、生活リズムを一定に保つことにも配慮する必要があります。起床や授乳の時間、お昼寝のタイミングなど、毎日同じ時間に繰り返す習慣を付けましょう。

首がすわったら楽しめる遊びも

首がすわってくると視野も広くなり、体の筋肉もより発達していきます。大人の膝の上にのせて揺らしてあげるなど、バランス能力を鍛える遊びなどを取り入れてもよいでしょう。

赤ちゃんの五感を刺激しよう

見る、聞く、触るなどの感覚が養われていく時期です。音や触感の異なるおもちゃに触れさせて、五感を刺激してあげましょう。

◆こんなところに注意!◆

興味のあるものを握って振ってみたものの、体をうまくコントロールできずに頭にぶつけてしまうなど、思わぬケガのリスクが高くなります。注意深く見守りましょう。

5カ月~6カ月

離乳食スタートのきっかけを

離乳食を開始するうえでは、「自分も食べてみたい」と赤ちゃんが感じることが大切です。身近な大人と食卓を囲み、食への興味を引き出してあげるましょう。食べ物に興味を示すようになったら、少しずつ離乳食をはじめていきます。

言葉のやりとりを楽しもう

赤ちゃんが興味を持ったものに「これは〇〇だね、はいどうぞ」などと伝えながら渡してあげたり、喃語に対して「楽しいね」「上手だね」などと反応を示してあげたりと、積極的に話しかけてあげましょう。

想像力を養う遊びを取り入れよう

いないいないばあなどの、遊びを喜ぶ時期でもあります。手のひらにボールを隠して出したり、ハンカチを箱にしまって引っ張り出したり…予想する力を養いましょう。

赤ちゃんの気持ちをくみ取ろう

欲しいものに手を伸ばす、指差しをするなど、赤ちゃんの意思がわかりやすくなってきます。そのサインにしっかりと目を向け、くみ取ってあげましょう。

◆こんなところに注意!◆

興味のあるものは何でも口に入れてしまうため、誤飲や誤嚥には要注意です。

7カ月~8カ月

人見知りはあたたかく見守って

人見知りが始まる頃ですが、きちんと愛着が形成されて情緒が育っている証拠。十分なスキンシップや言葉かけを行いながら、あたたかく見守りましょう。順調に成長している過程であることを伝え、保護者が自分の育て方に不安を抱いてしまわぬよう、配慮することも必要です。

両手を使って遊んでみよう

腰がすわり、両手を離しても安定して座っていられるようになるため、手遊びなど両手を使った遊びを楽しみましょう。

記憶力を鍛える遊びを展開しよう

大人が家具などに隠れて「どこかな~?」などと呼びかけると、赤ちゃんが姿を探すようになります。かくれんぼは赤ちゃんの全身運動にもなるのでオススメです。

繰り返しで赤ちゃんの学びをサポート

同じ遊びを繰り返すことで、赤ちゃんがさまざまなことに気づき、成長するきっかけを作ることができます。

◆こんなところに注意!◆

ハイハイやつかまり立ちをする子も出てくる時期です。行動範囲がぐんと広がるため、誤飲や転落など、事故のないように安全対策をしっかりと行いましょう。

9カ月~10カ月

離乳食の進み具合に合わせた生活リズムを

離乳食も3回食へと進む時期です。生活リズムを整えるためにも、お昼寝の時間などを調整し、夕食が遅くならないようにしましょう。

コミュニケーションの時間を大切に

ものへの興味が広がり、一人遊びができる赤ちゃんもいますが、言葉の発達やコミュニケーション力の向上のためにも、できるだけ大人がかかわりながら遊ぶように心がけましょう。

まねっこ遊びを楽しもう

この頃の赤ちゃんは、大人のしぐさをまねるのが大好きです。パチパチ、バイバイなど上手にまねできたら、たっぷりほめてあげましょう。

◆こんなところに注意!◆

何でも口に入れる、好奇心が強くなる、行動範囲が広がる、このことから安全にはいっそうの配慮が必要です。衣服などに外れそうなボタンがないか、電池やおもちゃのパーツが床に転がっていないかなど、安全に探索活動ができるように環境整備をしましょう。

11~12カ月

歩きたい!をサポートしよう

歩行にむけて、つかまり立ちや伝い歩きが始まる時期です。手押し車や歩行器など、赤ちゃんの歩きたい気持ちをサポートできるような遊びを提供しましょう。

言葉の発達を刺激しよう

まだはっきりと言葉を話すことができなくても、意思表示がはっきりしてきます。その気持ちをくみ取りながら、「〇〇したいのね」「〇〇が欲しいの?」など言葉をかけて、言葉の発達を促しましょう。

危険をくりかえし伝えよう

生後12カ月頃になると、大人の言うことがだんだんわかってきます。まだはっきりと理解はできなくても、危険なことや、やってはいけないことについては根気よく伝え続けることが大切です。

◆こんなところに注意!◆

発達には個人差があります。保護者のなかには「周囲の同じ月齢の子はできるのにうちの子だけできない……」と悩んでいる方もいるでしょう。保育者としては発達の個人差が大きいことを伝えたうえで、ともに見守っていく姿勢が重要です。

 

愛着の形成には大人とのかかわりが大切!

0歳児
母親や保育者など特定の人との間に形成される愛着は、情緒の安定や信頼感に結び付くとても大切なものです。

自分が常に愛され守られている、この人のそばにいれば安心だと感じられる関係を築くためにも、日々の生活で「アイコンタクト」「スキンシップ」「言葉かけ」を積極的に行いましょう。

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0歳にオススメの遊び

0歳児
「スキンシップやアイコンタクトが大切なのは分かったけれど、うまく取り入れる方法がわからない……」そんな時には遊びを工夫してみましょう。

赤ちゃんへの言葉かけや目合わせを行いながら、体や心の発達を促すことができます。具体的な遊びの例は関連記事でもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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0歳児でも絵本の読み聞かせは効果的!

0歳児
発達段階でもお伝えしましたが、0歳児の場合、視力はあまり発達していません。とくに月齢が低いときには0.02程度しかなく、ぼんやりとしかわかりませんし、12カ月頃でも0.1~0.2程度しかないと言われています。
 
しかし、そんななかでも絵本は大人とのコミュニケーションを密にとるツールとしてはピッタリ。読み聞かせは視覚と聴覚、また場合によっては触覚すべてを使って楽しめますので、赤ちゃんにとって非常によい刺激となるでしょう。

0歳児の絵本選びのポイント

◆はっきりとした色、形であること
◆絵や形が大きくわかりやすいこと
◆短い言葉やシンプルな喃語で構成されていること
◆飽きずにいられるページ数であること
◆汚れにくく、手指を傷つけない形状や素材であること
◆ふれあい遊びなどにつなげられるもの

編集者より

0歳児
今は共働きの夫婦も増え、保育施設でも0歳児からの保育ニーズが高まっています。そのため保育園で多くの時間を過ごすという赤ちゃんも多いでしょう。発達の著しい0歳の時期だからこそ、発達の段階や、その時期に育つ力をきちんと把握して、充実した保育の提供につなげることが大切です。

また、赤ちゃんにとっては保護者とのふれあいの時間もやはり重要。保育者が具体的な接し方のコツをアドバイスしてあげることで、よりよい育ちの環境を作る「家庭支援」にもつなげられるでしょう。

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