2015年4月に施行された子ども・子育て支援新制度で新たに認可事業として認められた小規模保育は、現在待機児童問題の解消に向けた取り組みとしても大きな注目を集めています。今回は「少人数のあったか保育」をモットーにきめ細やかな保育を実践される、「おうち保育園」を実際に見学させていただきました!
https://hoiku-shigoto.com/report/archives/14302/
おうち保育園とは
認定NPO法人フローレンスが運営を行う小規模保育園です。待機児童の多い東京都内エリアと仙台市に合計14園展開しています。
◆おうち保育園の保育理念◆ | |
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1 | 少人数のあったか保育 |
2 | 感動溢れる保育 |
3 | 「第二の家庭」を実現する保育 |
- ◆おうち保育園の保育目標◆
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◇意欲のある子ども
◇思いやりのある子ども
◇良く食べ よく眠り よく笑う子ども
- ◆保育(行動)クレド◆
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おうち保育園のスタッフは以下のことを実践します
◇子どもたちの自己肯定感を育むことに全力を尽くします
◇保護者を顧客ではなくクルーと考えます
◇子どもを育む最高のチームです
◇常に最高の保育に向かって学び続けるプロです
認定NPO法人フローレンスとは
認定NPO法人フローレンスは、小規模保育施設を運営するおうち保育園事業の他に、急な発熱や病気によって保育園に通えないお子さんの自宅を訪問して保育を行う病児保育事業、障害児保育事業など、親子の笑顔を妨げる社会問題を解決するための事業を展開しています。
https://hoiku-shigoto.com/report/archives/13223/
【詳しくは…】
⇒認定NPO法人フローレンス 働き方革命ブログ
「おうち保育園 新おかちまち」を訪ねて
▲地下鉄の新御徒町駅を出て、おうち保育園をめざす編集者。都心の通勤に便利な場所にありながら、おうち保育園新おかちまちは、閑静な街並みの一角にありました。
▲園があるのはこちらのビルの2階。ビルの入り口でインターホンを鳴らすと、職員の方があたたかく迎え入れてくれました。
今回お話をお聞かせいただいた皆さま
今回はおうち保育園新おかちまちで働く、保育士の神野かおりさん、おうち保育園事業部の石川直子さんにお話をお伺いしました!
▲笑顔がとっても素敵な保育士の神野かおりさん。
▲おうち保育園事業部の石川直子さん。
――本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、新おかちまち園は記念すべき10園目のおうち保育園とのこと、園児数と職員数の規模をお伺いしてもよろしいでしょうか。
石川さん:はい。現在おうち保育園新おかちまちの園児数定員は12名です。職員は園長1名、フルタイム勤務の職員が5名、うち時短勤務の職員が2名、その他朝夕パートタイムスタッフが1名ずつと、調理師が2名交代制で勤務しています。
2015年度からは認可保育園に!
――子ども・子育て支援新制度のスタートで、小規模保育が認可事業化しましたね。認可施設となることで大きく変わったことはありましたか?
神野さん:そうですね、まず給食の提供が始まりましたね。今までは一人ひとりお弁当をお預かりしていたんですが、保護者の方にとってご負担となっていた部分もあるかと思いますので良かったと感じています。また、12時間開園になり、お預かり時間が長くなりました。
――小規模保育事業の抱えている課題のひとつに、「3歳の壁」問題がありますよね。貴園の場合には、卒園後の預かり先として、提携園などは設けられているのでしょうか。
神野さん:卒園児の受け入れという面での連携はまだ行っていませんが、来年度から連携園を設定していけるよう、これから具体的に動いていく予定です。
ただし卒園児の受け入れとは別に、交流という形での連携は今までも取っているんです。おうち保育園新おかちまちの場合は施設の目の前にある区立の認可園と連携しながら保育を行っています。
――行事の内容や頻度などのルールについて、各園に裁量権があるとお聞きしましたが、実際にはどのように行事を組み立てられているのですか。
神野さん:年度初めに園スタッフ全員で、1年を見通して計画を立てます。
子どもたちの発達から「この時期にはこんなことができるのではないか」「こんなことがやりたい」と考え、スタッフ皆で話し合って、行事を検討しています。
▲入り口には子どもたちや職員の皆さまの写真がずらり。食育に取り組んでいる際の楽しげな写真も掲示され、保護者の方に行事の様子が細かくわかるよう工夫されていました。
――1日の保育内容や、園での取組みにおいて、小規模ならではの特徴的な部分はありますか?
神野さん:特徴的なのは敷地内に園庭がないことですね。
一見デメリットに感じる方もいるかもしれませんが、午前中の活動は主に戸外活動ですので、できる限り公園に行くなど外に出るようにしています。園庭がないからこそ、地域の資源を活用して地域に溶け込んだ保育ができます。
――近くに公園など外遊びができる環境は整っているのですか?
神野さん:はい。公園以外にも楽しめる場所がいろいろあるんです。例えば隅田川にかかる厩橋(うまやばし)の下などは、広々としてお天気が良い日にはとても気持ちが良いんですよ!よく子どもたちとお散歩に行っては船を見て楽しんでいます。
スタッフは、近隣で子どもたちが楽しめそうな場所を見つけて「ここに行ってみよう!」とプランを練るんです。鬼ごっこをするのでも、より楽しめる設備のある公園はどこだろうと考えてワクワクします。環境的にも恵まれていますね。
――楽しそうですね!戸外活動ができる場所が近隣に多くあるのは、子どもたちにとっても良い刺激になりますよね。
神野さん:そうですね。
――現在都市部では園庭のない保育施設が多く、遊ぶのも順番待ちというケースも多いようなのですが、他の保育施設の子どもたちと利用時間が重なってしてしまうこともありますか?
神野さん:そうですね、やはりいろいろな保育園の園児さんとお会いすることはあります。ただお互いに譲り合いながら、うまく利用していますね。
▲壁に貼られた1日の保育の流れ。こういった手づくりの掲示物も、おうち保育園のあたたかみのある環境の一部になっています。
自己肯定感を育む保育
――おうち保育園では、子どもの自己肯定感を育むことに尽力されていると拝見しましたが、実際にどのようなことに気を付けているのですか?
神野さん:私自身前向きになるべく肯定的な声掛けをするように心がけています。また、全て保育士がお手伝いしてしまうのではなく、子どもが自分でできるところまでは、しっかり見守り、さりげなくフォローをしてあげるようにしていますね。
そしてできた時には一緒に喜んであげることで、子どもも達成感を味わうことができるように心がけています。
友だちとも「〇〇ちゃんできたね!」と一緒に喜び合うようにすると、子ども同士でも切磋琢磨して互いに自己肯定感を高め合っていくことができるんです。
――日々の取り組みの中で自信を付けて、自己肯定感を育んでいけるのはとても素晴らしいですね!一人ひとりにじっくり向き合えるからこそ、きめ細やかなサポートも可能になりますよね。
編集者より
「少人数のあったか保育」を保育理念のひとつに掲げるおうち保育園。日々の遊びや行事、子どもとの関わり方をお聞きするなかで、スタッフの皆さん一人ひとりが、ほんとうにあたたかな保育を実践されているのだと感じました。
今回取材にご協力いただきました、認定NPO法人フローレンス、おうち保育園新おかちまちの皆さま、本当にありがとうございました!
◆おうち保育園で働いてみませんか?◆
認定NPO法人フローレンスでは、多くの園で一緒に働く方を募集しています!小規模保育に関心がある、今回記事を読んで興味が湧いた、そんな方はぜひお気軽にお問合せ下さいね!
◆おうち保育園についてはこちら。
※この取材記事の内容は、2015年10月に行った取材に基づき作成しています。