じりじりと太陽の光が照りつける夏がやってきました!子どもたちにとっては、水遊びで思いきり楽しみたい季節です。
今回は保育園や幼稚園、こども園で簡単に楽しめる、水遊びのアイデアを紹介します!
子どもの育ちや保育指針を踏まえた解説や指導計画例もありますのでぜひ参考にしてくださいね。
ただ「楽しい」で終わらない! 年齢差と個人差を考慮した水遊びを
「水遊び」で特に気にしたいのは、子ども達の発達の差と水への耐性の個人差です。
乳児にとっては、お風呂以外で広い場所に冷たい水が張られた場面との初めての機会になるかもしれません。
一方で、幼児期の早いタイミングからスイミングスクールに通ってスイスイ泳げる子どももいますよね。
また、発達障害の特性の「感覚過敏」によって「水そのものの感触が不愉快」という子どももいます。
水とふれ合うことを無理強いせず、しかしチャレンジした際はたっぷり子どもを褒めることが重要です。
この記事では、年齢を考慮しその発達に沿った遊びを紹介しますが、年齢はあくまでも目安にしてください。
子どもの発達と個人差を踏まえて誰もが楽しめる水遊びを計画しよう!
保護者の方とも連携をとって、「どのくらい水に慣れているか」を聞いておくとなお良いですね。
「保育所保育指針」等を踏まえた発達についてはのちほど詳しくお伝えしていきます。
水遊びにはリスクがつきもの!まずはチェックリストを確認
「水遊び」においては普段の保育とは異なるリスクが発生します。
安全対策はバッチリしておきましょう。以下は簡易的なチェックリストです。
□環境の整備がなされ、プール設備や遊具の安全は確保できているか
□保護者との情報共有はできているか
□子ども達に注意事項はきちんと伝えているか
□子ども・保育者の健康状態は良いか(登園時~水遊びの後)
□保育者の人数・管理体制は十分か
□天候や水の状態は良好か(暑すぎても熱中症の危険があるので、無理に外へ出ない)
より詳しい注意点については下記の記事を参考にしてください。
遊び①「変身ごっこ」【0~2歳児】
0~2歳児は、五感の発達が著しく成長する時期です。
「触るとピチャピチャする」、「冷たい」、「透明でキラキラしている」といった水との世界の入り口になるように、丁寧な関わり方を意識していきましょう。
プールなどの水温は、ひなたで温めたりお湯を足したりして、少しぬるめ(28~30℃)にするのが良いとされています。
変身ごっこを「水慣れ」の入り口に
本格的にプールに入る前に、園庭などで遊べる「水慣れ」のお楽しみです。
洋服の上から着ることができるコスチュームをまとい、おそろいのバケツを持って、水かけ遊びを楽しみましょう。
2歳頃になるとヒーロー/ヒロインものへの憧れも出てくるので、デザインのモチーフにすると子ども達にもより喜んでもらえそうです。
ぬれても平気な変身コスチュームを作ろう!
洋服がぬれることを嫌がる子どもの為に、「これを着れば、濡れても大丈夫だよ」と声かけをして、水へ親しむことをを促します。
ハンガー等で完成品を保育室に飾っておくことで「これ、なあに?」と興味をひくのも良いですね。
【材料】
□カラーポリ袋(大きさの目安 19号:55×40㎝)または持ち手のついたレジ袋
□ ビニールテープ
□ (装飾用)水にぬれても平気なシール
□ ハサミ
【作り方】
①ポリ袋は底を上にして、タンクトップ型に切る
(レジ袋は持ち手部分を上に、不要なピラピラする部分と底をカットする)
②シールやビニールテープで装飾する
③リボンを作りたい場合は、ポリ袋の余った部分を使い、中央をビニールテープで留める
打ち水バケツを作るとさらに盛り上がる!
お揃いのアイテムもあると、より「変身」気分を味わえるかもしれません。
できたバケツをもって園庭に打ち水をしてみたり、お友達と水をかけっこしたり……。
植物の水やりなどにも使えます!
【材料】
□ ペットボトル
□ ビニールテープ
□ 梱包用のビニール紐(すずらんテープなど)
□ マジックやシールなどの装飾用品
□ きり
□ ハサミ
【作り方】
①大きめのペットボトルの上半分を切り落とし、切り口から2センチくらい下2カ所に取っ手を通すための穴を開けておく(危険なので保育士さんが行うと良いでしょう)
②ペットボトルの切り口にビニールテープを貼る(ケガに注意!)
③①で空けた穴に梱包用のビニール紐を通してしっかり結ぶ
④ペットボトルの側面をシールやマジックで彩れば完成!
遊び②「シャボン玉あそび」【3~4歳児】
色をつけたり、あわあわになったり、氷を使ってみたり……水の変形する不思議な性質へ目を向け、生活の中で水に親しみをもてるような工夫をしていきましょう。
ここでは、夏に限らず、通年で楽しめる「水遊び」をご紹介します。
新しいクラスにも徐々に慣れてきた時期。
みんなで一体感をもって楽しむ「協同遊び」へつなげていけるといいですね。
定番のシャボン玉遊びも「連続性」を意識して一工夫
何歳になっても楽しいシャボン玉遊び。
市販のシャボン玉でも対象年齢は「3歳~」というものが多いのはご存じでしたか?
一般的に3歳以降であれば、誤飲の危険性も減り「フーっと吹く」ということも理解できるようになってきます。
ただし、3歳を超えていても油断は禁物。子ども達が「きれいだな、食べたらどんな味かな?」と興味をもって口に含んでしまう可能性は大いにあるので十分に注意しましょう!
手作りで安心「シャボン玉液」
市販のものでもいいですが、シャボン玉液は身近なもので簡単にできます。
台所用中性洗剤ではなく、固形せっけんを用いるのがポイントです。
これなら大量に用意できて、大人数の異年齢でシャボン玉大会をしても盛り上がりそうです。
【材料】
==シャボン玉液==
□ 無香料・無添加の固形せっけん
□ おろし金
□ お湯
□砂糖
==遊び道具==
□バット(平らなトレー)
□コップ
□ストロー
□はさみ
□針金製のハンガー など
【作り方】
①お湯におろし金ですりおろした固形せっけんを加えていく
②①に少しずつ砂糖と加えていく(お湯100mlに対し砂糖は5g程度)
③ストローは先端を5mm位を十字にカットする
④ストローで吹いて膨らむ程度の濃さにシャボン液を調整していく
砂糖はシャボン玉を割れにくくする働きがあります。
また、ハンガーは洋服をかける部分を丸型に広げることで大きなシャボン玉を作る道具に変身! 針金の先はガムテープやいらなくなった布を巻いたりして、危なくないように処理しましょう。
ペットボトルでシャボン玉がたくさん!
ただストローでふうっと吹くだけでも楽しいシャボン玉ですが、ペットボトルを使えばもっと面白くできるんです!
ブクブクとたくさんの泡が出る様子が「カニさんみたい」と楽しめます。
【材料】
□ ペットボトル
□ ハンカチや布、手ぬぐい
□ 輪ゴム
□ カッター
□ ビニールテープ
【作り方】
①ペットボトルをカッターで切る
②切り口にビニールテープを貼る
③ペットボトルに布を巻いてゴムで留めれば完成! 布のほうにシャボン液を浸す
遊び③「宝探し」【5歳児~】
身体の運動機能が発達し、滑らかな動きもできるようになってきます。
ダイナミックな水遊びで、ハラハラしたりドキドキすることで、心肺の持久力も養っていきましょう。
「顔付け」からだんだんと「浮く」・「泳ぐ」へ移行できる流れを作り、
周りの友だちから刺激を受けながら、達成感を味わえるあそびを用意します。
上記のことを意識して、プールにジャブジャブ入った遊び・海や川など水辺で遊ぶお泊まり保育のアイデアをここではご紹介します。
顔をつけられなくても大丈夫! 水中メガネで宝探し
5歳児の場合、スイスイと泳ぐこともできる子どももいれば、顔を水につけるのがまだ怖い子どももいます。習い事などにより個人差・経験差が大きいこの位の年齢は、ゲームでも劣等感が生まれないように配慮するのがポイントです。
定番の宝探しゲームですが、浮くおもちゃ・カラーのわっか・100円ショップで売っているようなキラキラ光る石など、「宝物」の種類を変えたり工夫をすれば毎回違う楽しみが味わえます。
プールで宝探しをする際は、始める前にお宝の個数を確認し、プールを出る時にもお宝の取り残しがないかきちんと確認しましょう。
牛乳パックの水中メガネ
牛乳パックにラップに輪ゴム…どこの家庭にもあるこの3点だけで、カンタンに水中を覗き見る”手づくり水中メガネ”が作れます。
【材料】
□ 牛乳パックなどの飲料の紙パック
□ ラップ(ビニールでも可)
□ 輪ゴム
□ はさみ
【作り方】
①よく洗った牛乳パックの口と底を開き、上下をハサミで切って筒状にする
②筒の片方にラップをかける(ピンと張るように注意)
③輪ゴムでラップを固定すれば完成! 牛乳パックを装飾するのも◎
プールだけでなく、海でも川でも遊べる万能グッズです。
ストーンペインティングで手作りのお宝
お宝づくりも子ども達の造形タイムで実践!
石の形を見て、「何に見えるかな」とイメージすることで創造力を育みます。
プールでお宝さがしに使う場合、水中に潜れない子どもでも少し蹴り上げれば水中でフワリと浮いて掴むことができます。
【材料】
□少し大きめの石
□ アクリル絵の具(ポスカでも描けます)
□ ニス
【作り方】
①石をみて何に見えるか想像する
②絵の具やポスカで絵を描く(裏面に油性マジックで名前を描けば取り間違えを防げます)
③乾燥したらニスを塗る
また、水辺に遊びに行く園ではその場の石を拾って作品にすれば良い思い出として残りますね。※石の持ち帰り許可はそれぞれの場所でご確認ください
時間がなければ目玉を付けるだけでもファニーなおもちゃになります。
作品展などで並べて展示しても素敵です。
手作りおもちゃ①「キラキラボトル」【0~2歳児】
保育士さんなら一度は見たことのある「キラキラボトル」です。
大人が作れば5分以下でできるというのも嬉しいですね。
水中で浮遊するキラキラするものに赤ちゃんの視線は釘付け。
ひっくり返してみたり、プールに入れてみたり、傾斜を付けた場所やすべり台で転がしてみせたり、様々な動きを遊びながら発見していきます。
【材料】
□ペットボトル
□ 水
□ 中に入れるキラキラしたもの(ビーズ、セロハン、ホログラム、アルミホイルなどお好みで)
□ビニールテープ
【作り方】
①空のペットボトルにキラキラした物を入れる
②水を満たして、ボトルのキャップ部分をビニールテープで留める
ペットボトルの大きさも色々と用意できます。
乳酸菌飲料が入っているような100ml前後の大きさならば、子どもでも持ちやすいですね。
乳児向け「親子教室」などでも人気の制作です。中に物を入れる時は、細かいパーツを子どもが口に入れてしまわないよう注意しましょう。
手作りおもちゃ②「発砲トレーのお船」【3~4歳児】
おなじみではありますが、食品トレーで帆の付いた船を作って、みんなで競争させるのも面白いでしょう。風で動く帆船にすることで、みんなで「ふー、ふー!」と吹いて、呼吸筋を鍛えることにも役立ちますよ。
【材料】
□ 食品トレー 2枚
□ 竹串
□ ハサミ
□ ビニールテープ
□ マジックなど装飾用の画材など
【作り方】
①よく洗った食品トレー2枚のうち1枚の、短い方の2辺の端を切り落とす
②①を切り落とした辺と同じ方向に2等分して、2枚の帆を作る
③竹串で2枚の帆を貫通させ、さらにそれを土台となるトレーに刺して、ビニールテープで固定する
(ケガに注意!必要に応じて保育士さんが行っても良いでしょう)
④マジックなどで自由に飾りつけをすれば完成!
(バランスが悪い場合は、プリンカップなどを土台のトレーに乗せて固定し、安定させると良いでしょう)
海賊船やキャラクターものにするなど、子ども達が気に入るようなデザインにできるかが腕の見せ所ですね。
手作りおもちゃ③射的もできる水鉄砲【5歳児~】
プールで遊ぶだけでなく、園庭で射的遊びも楽しめますよ。
的は新聞紙で作ることで、水に濡れたら破れて落ちる仕組みです。水の力・勢いに触れ、コントロール力も付きます。
【材料】
==水鉄砲==
□ ケチャップなどのチューブ容器
(装飾用)
□牛乳パック
□ビニールテープ・シールなど
==的==
□ 食品トレー
□ 新聞紙 または トイレットペーパー
□油性ペン
□セロハンテープ
【作り方】
①チューブ容器に牛乳パックをカットしたものやシールを貼って装飾する
②食品トレーをカットして的を作る
③的をつるす場所(鉄棒やジャングルジムなど)の高さに合わせて切った新聞紙に2の的をセロハンテープで付ける
撃ち落とせる速さを競ったり、プールで先生が水のアーチを作って見せるのも面白そうです。
水遊びのねらいをおさえて指導計画もラクラク!
ここまで簡単にできる水遊びを紹介してきました。
しかし、特に新人保育士さん達が頭を悩ませるのが「指導計画案」「デイリープログラム」などの書き方ではないでしょうか。
子ども達の発達と国の保育・教育プログラムを踏まえれば、こちらも苦労はしません。
平成30年度に改正された「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」をもとにわかりやすく解説をしますので、「水遊び」を計画し、指導計画などを書く際の参考にしてください。
0~2歳児は「くつろいだ雰囲気」のなか楽しむ
「保育所保育指針」における基本的な目標として「養護」が挙げられます。
「くつろいだ雰囲気」の中で水の心地よさを味わう
赤ちゃんたちにとって水に触れるというだけでも大きなチャレンジです。
安全性が確保された中で、「暑い日は冷たいお水が気持ちいいね」、「お水がキラキラしてきれいだね」などと応答的に関わることが乳幼児期には特に重要です。
3歳児以上は「健康」のねらいを理解する
「幼稚園教育要領」他で示されているねらいの5つののうち、最初の項目が「健康」です。
3歳児以降は遊びのバリエーションも増え、仲間とのかかわり合いと輪が広がっていきます。
4・5歳には運動機能も著しく発達する時期ですので、それをサポートできることが望ましいです。
・「いろいろな遊び」を通して「充実感」を味わい、体を動かす意欲を育む
・「見通し」をもち、安全への関心を高める
次に何をするのかが分かり習慣化できるような声掛けや、水遊びにおけるルールを理解し「どうすると危ないのか」を考えられる時間を設けられると良いですね。
事故の防止に努めよう 「事故防止及び安全対策」
水遊び中の重大事故が多いこと、そしてきちんとした対策をとることは要領でも明記されています。
(2) 事故防止の取組を行う際には、特に、睡眠中、プール活動・水遊び中、食事中等の場面では重大事故が発生しやすいことを踏まえ、園児の主体的な活動を大切にしつつ、施設内外の環境の配慮や指導の工夫を行うなど、必要な対策を講じること
《引用》「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」第3章 4節
応急処置を理解しできるようにしておくことももちろん重要ですが、事故を未然に防ぐことはより重要です。
そのためには、先生同士でしっかりと打ち合わせをし、どのように環境構成をすれば良いかも考えておきましょう。
4歳児版:指導計画(日案)の例
プール遊びにおける指導計画例(日案)を載せます。
子ども達の体力や近年の暑さも踏まえ、入水時間を50分程度のプール遊びを想定しています。
※画像をクリックすれば大きな画像が見られます
あくまで計画なので、その日の子どもたちの様子や天候などによって臨機応変に動くことが重要です。
編集者より
暑い夏だからこそ気持ちの良い水遊び。
遊びながら生活の身近にあるの不思議に気づき、運動機能も伸ばしていける絶好の機会です。
安全に気を付けて、手作りおもちゃやオリジナリティ溢れるアイデアでいつもとちょっと違う水遊びを楽しめるといいですね。
今年もみんなで楽しい夏を過ごせますように!
●夏の保育の参考に!以下の記事も要チェックです!!
参考文献・サイト
- 菊池 一英,2010,『みんな楽しい 水あそび・プールあそび84 』ナツメ社
- やまもとかつひこと関西あそび工房,2002,『0~5歳児の水あそびプールあそび―水慣れから泳ぎにつながるあそびがいっぱい』ひかりのくに
- 山本克彦(監修),2003,『行事別保育のアイデアシリーズ1 元気がいっぱい夏期保育』フレーベル館
- 阿部直美・浅野ななみ,2018,『砂・泥あそび 雨の日あそび 水あそび プールあそび アイデア101: 0~5歳児 春~夏のあそび』学研プラス
- 2018,隔月刊『新 幼児と保育』 2018年 6月号,小学館
- 水中メガネ|簡単手作りおもちゃの作り方 工作図鑑(2019/05/27)
- 発泡トレー工作 ペンギン船長と帆船ハッポートレー丸(2019/05/27)
- ペットボトルで楽しく水遊び♪手づくりおもちゃの制作レシピ(2019/05/27)
- 改定「保育所保育指針」 改訂「幼稚園教育要領」 改訂「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」 一般社団法人 全国保育士養成協議会保育士養成研究所(2019/05/27)
- 「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」内閣府(2019/05/27)