体の動かし方も上手になり、言葉もたくさん覚えて、行動や自己表現の幅がぐんと広がる2歳児。
成長が喜ばしい反面、第一次反抗期と呼ばれる時期にもあたり、なんでも「イヤ!」「自分でやる!」と主張したり、思いどおりにいかずに泣き叫んでみたり……。対応に困ってしまうことが多いのも、2歳児の特徴です。
今回は、「イヤイヤ期」「魔の2歳児」とも表現される、複雑な2歳児との向き合い方、接し方のポイントをご紹介していきます!
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2歳児の発達の目安をチェックしよう!
2歳児になると、これまで「赤ちゃん」という印象だった体つきも、幼児らしくスマートになってきます。まずは、2歳児に上手に接するためにも、その心身の発達目安を確認してみましょう!
身長・体重はこれくらい!
厚生労働省による「平成22年度 乳幼児身体発育調査」では、2歳児の身長・体重のおおよその目安が紹介されています。
◆2歳(0~6ヶ月)の成長目安(男女別)◆ | |
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男子 | 身長:81.1cm~92.5cm(中央値:86.7cm) 体重:10.06kg~14.55kg(中央値:11.93kg) |
女子 | 身長:79.8cm~91.2cm(中央値:85.3cm) 体重:9.30kg~13.73kg(中央値:11.29kg) |
◆2歳(6~12ヶ月)の成長目安(男女別)◆ | |
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男子 | 身長:85.2cm~97.4cm(中央値:91.1cm) 体重:10.94kg~16.01kg(中央値:12.99kg) |
女子 | 身長:84.1cm~96.3cm(中央値:89.8cm) 体重:10.18kg~15.23kg(中央値:12.43kg) |
1歳の頃と比べると、だんだんと体重の増加がゆるやかになってきます。個人差も大きいですが、中央値で比べてみると、2歳から3歳までの1年間で体重は1~2kg程度、身長はおよそ4~5cm程度増加します。
歩くのが楽しくてたまらない!
運動能力が発達し、歩けることが楽しくてたまらない時期です。パパやママに手を引かれなくても、自分だけで歩いたり、小走りしたりすることもあるでしょう。
- しっかりとした足取りで歩く
- 走ることができる
- 少しの高さならばまたぐことができる
- 手を使わず両足を交互にあげて階段の上り下りをする
- しゃがむことができる
- 両足でジャンプすることができる
- ボールを蹴ることができる
- つま先立ちや背伸びができる
手先が器用になる
大人が補助をしなくてもスプーンやフォークで食事ができるようになったり、クレヨンをしっかりもって線を描いたり……。いままでひとりではできなかったことも、次第にできるようになってきます。
- 力強い線を描くことができる
- 小さなものをつまめる
- ドアノブや蛇口などをひねる
- 手を使うときに力の加減ができる
- 簡単な衣服の着脱ができる
- 大きなボタンのかけ外しができる
- スプーンやフォークを上手に使える
- 両手指を組み合わせて手洗いができる
乳歯が生えそろってくる
食事に関しては、離乳食は完了し、幼児食がしっかり食べられるようになります。2歳ころまでには、おっぱいを卒業している子も多くなるでしょう。
個人差はあるものの、2歳後半から3歳までで、乳歯がおおよそ生え揃います。ある程度大きな食材・固い食材も、しっかり噛んで食べられるようになりますが、虫歯にはよりいっそうの注意が必要になってきます。
言葉の爆発期!二語文・三語文が話せるように
2歳児の言葉の発達は著しく、「言葉の爆発期」とも言われるほど。どんどんと話せる言葉が増えていきます。
「ボール、あった」などの二語文のほか、「ママ、こうえん、いこー!」「にゃんにゃん、あっち、いっちゃった」など、三語文を話す子も出てくるでしょう。
また、好奇心も旺盛で、「これはなに?」「あれは?」「どうして?」「なんで?」と次々に質問をするようになります。これもまた、言語を習得するためには欠かせない行動です。
- 語彙の量が200~300程度まで増える
- 「あたま」「おなか」「おしり」など、体の部位の名前を覚える
- 体の痛い部分を言葉で伝えられる
- 二語文・三語文を話すことができる
- 目で見たものを言葉で示すことが上手になる
- 「イヤ」「自分で」など気持ちを言葉で表現できる
- 「これはなに?」と、物の名前を知りたがる
- 色の名前がわかる
- 3までくらいの数を数えられる
- 上と下など対比する言葉を理解できる
- 昨日・今日・明日といった時間の概念がわかりはじめる
自我が発達し自己主張が激しくなる
2歳の頃には、どんなことも「自分でやってみたい」という自発性が生まれます。同時に自立心も生まれてきて、衣服の着脱や排せつなどの手助けを嫌がって「イヤ!」「じぶんでやるの!」と怒ったり、思い通りにいかないと、癇癪を起して泣きわめいたりすることもあります。
これがいわゆる「イヤイヤ期」とよばれる第一次反抗期ならではの行動。一見すると、単なるワガママのようにも思えますが、子どもたちの自我や自立心が発達している証拠でもあります。
トイレトレーニングのスタート期
体の成長にともない、膀胱も大きくなるため、尿を2時間程度溜めておけるようになります。また、脳の伝達経路もしっかりしてきて、尿が溜まった感覚がわかるようになるため、「おしっこでた!」など教えてくれるようになります。
この頃にはトイレトレーニングを開始する保護者も増えてくるでしょう。
- 【トイレトレーニングのスタートのめやす】
- ・ひとりで歩けること
- ・大人と簡単なコミュニケーションがとれること
- ・「〇〇取って」などの指示が理解できること
- ・おしっこやうんちなどの言葉がわかること
- ・排泄を知らせることができること
生活リズムが乱れがちなことも……
2歳になると体力もついてきて、長く起きて遊んでいられるようになってきます。しかし、いっぽうで、「昼寝が遅くなってしまい、夜寝るのが遅くなってしまう」、「昼寝の時間は変わらないのに、なかなか夜寝てくれない……」といった、生活リズムの乱れも起こりやすくなります。
保育園の場合には、午睡の時間が決まっていますが、保護者が、子どもの生活リズムについて悩んでいるようであれば、午睡時間の調整などを提案をしてみてもよいかもしれませんね。
想像力や社会性が身に付きはじめる
想像力が発達するとともに、長期的な記憶ができるようになってくるため、積み木を電話に見立てて「もしもし?」と大人のまねをしてみたり、おもちゃのコップで水を飲むふりをしたり……といった「つもり遊び」「見立て遊び」がさかんになります。
また、他の子どもに関心を示すようになり、お友だちの名前を呼んだり、近づいて隣で遊んだりするようになります。
ただし2歳児の社会性は、まだ未発達な部分も多く、自分のおもちゃを取られて相手を叩いてしまったり、思い通りにいかずに噛みついてしまったりというトラブルも生じがちです。
2歳児の「イヤイヤ期」対応のポイントは?
着替えようとすれば「イヤ!」、食事も「イヤ!」「いらない!」、しかし片づけたらそれも「イヤ~!!」……。2歳児のいわゆる「イヤイヤ期」には、多くの保護者が頭を抱え、悩んでいることでしょう。
激しく自己主張をし、思い通りにいかないと、ときに癇癪をおこす、その姿は「魔の2歳児」と称されるほどです。
では、なぜこのような「イヤイヤ期」がやってくるのでしょうか?
イヤイヤ期のメカニズム
2歳児の「イヤイヤ期」を理解するためには、子どもたちの心身の発達に注目する必要があります。イヤイヤが生じるのには、次のような発達上の理由があります。
- 【「イヤイヤ期」が起こる要因】
- ・自発性と自立心が芽生える
- ・衝動や欲求を押さえる脳の抑制機能が未熟である
- ・言語のが発達途上でうまく気持ちを伝えられない
- ・体を動かす機能が発達途上でやりたいことがうまくできない
2歳頃になると、自立心が芽生えて、何でも「自分でチャレンジしてみたい」という欲求が生まれます。しかし、たとえば、それがまだ自分でできないことで、「まだ早いよ」と言われても、子どもたちは、その「やりたい気持ち」をうまく抑え込んだり、妥協したりということができません。
また、挑戦したはよいものの、うまくできずにイラついてしまう……ということも多くあるでしょう。
そんな、もどかしい気持ちをうまく言葉で表現することができない、感情を抑えることができないために出てくるのが「イヤ!」という言葉や、癇癪なのです。
イヤイヤ期の対処法は?
2歳児と接するうえでは、避けては通れない「イヤイヤ期」への理解。では、具体的にどのような点に注意すれば、上手に接することができるのでしょうか。
まず、以下のような接し方は避ける必要があります。
- 一方的に叱る「ダメ!」「やめなさい!」
- 理解できないあいまいな表現で叱る「いい加減にしなさい!」
- 約束を破る
- 脅しで言うことを聞かせようとする
- 子どもの要求の言いなりになる
- モノで釣る
なんでも「ダメ!」と叱りつけていては、子どもが考えたことを全否定してしまいます。また、あいまいな表現は、余計に子どもを混乱させてしまいますので注意しましょう。
たとえば、「食事が終わったらお外で遊んでいいよ」と言ったのに、その約束を守らない、あるいは「言うことを聞かないなら、置いて行ってしまうよ!」などと、脅しを使うことは、子どもの信頼感を損なうことにもつながりかねません。
また、ついついやってしまいがちですが、「お菓子をあげるから静かにしよう!」などと、モノで釣ることは、子どもと大人とが、じっくり向き合う機会を奪ってしまいます。
対応のポイントは「気持ちに寄り添うこと」……
2歳児の子どもたちとよりよく接するには、「イヤイヤ期」のメカニズムについて、理解したうえで、子どもの要求(やりたい気持ち)を理解して受け止めること、そしてそれを言語化してあげることが大切です。
- 【ポイント1】
- 「〇〇したかったんだね」「自分でやりたかったけど、うまくできなかったんだね」などと、気持ちを代弁してあげましょう。それでも「イヤ」を連発するようなら、「そうだよね、嫌だよね」という共感を示すだけでも「理解してくれている」と伝わり、子どもが安心感を得ることができるはずです。
要求は、かならずしも叶えられるものとはかぎりません。実現することが難しいときは、次のようなポイントに注意しながら、子どもたちの気持ちに寄り添ってあげましょう。
- 【ポイント2】
- 「〇〇したら××してしまうから、やめようね」「今日はできないけれど、お休みの日にママと一緒にできるからね」など、単に「ダメ!」と突き放すのではなく、きちんと目を見て、伝えるようにしましょう。
- 【ポイント3】
- 子どもの気持ちが落ち着かず、癇癪を起してしまった場合には、抱きしめてあげる、外の空気に触れさせるなど、少し気持ちが落ち着くまで待ってから、対処するようにしましょう。
- 【ポイント4】
- 「代わりに〇〇しようか」「〇〇はできないけど、××と▲▲ならできるよ。どっちにする?」など代替案を出し、執着していることから他に気を向けてあげましょう。
- 【ポイント5】
- 安全が確保できることであれば、ときには気が済むまでチャレンジさせてあげるのもよいでしょう。
2歳児とよりよく接するためのポイント
主に2歳児の特徴的な「イヤイヤ期」への対処法をご紹介してきましたが、ここからはイヤイヤへの対処以外で、子どもたちとのかかわりを、よりよくするためのポイントをご紹介します。
- ◆運動能力の発達を促そう◆
- 子どもたちが、思いきり走ったり、飛び跳ねたりできる環境をつくってあげましょう。室内で難しいようであれば、広い公園に連れていくなどもよいかもしれません。
- 行動範囲が広く、探索行動もさかんなため、安全への配慮は十分に行いましょう。
- ◆やりたい欲求を認めてあげよう◆
- 自分でなんでもやりたがる時は、可能な範囲でやらせてあげましょう。「できっこない」と決めつけたり、できないからと言って「だから言ったでしょ」と叱責するのはNG。ときには支援しながら、できたときにはしっかりとほめてあげましょう。
- ◆積極的な言葉かけをしよう◆
- 言葉が劇的に発達する時期なので、さまざまな言葉を使って話しかけてみましょう。ただし、大人が不適切な言葉を使ってしまうことには、注意が必要です。
- ◆「なに?」「どうして?」にはキチンと答えて!◆
- 子どもたちに聞かれたことには、しっかりと答えましょう。同じことを聞いても「さっき教えたでしょ!」と叱るのではなく、根気よく答えてあげるよう、心がけます。
- 「あれはスズメっていう小鳥さんだよ、かわいいね!」など、会話を通じて、言葉と視覚が結び付けられるようにしましょう。
- ◆見通しの立てられる声掛けを◆
- 次の行動への気持ちの切り替えがスムーズにできるよう、「〇〇したらお部屋に入ろうね」など、見通しの持てる声かけをしましょう。いきなり遊びを中断されたり、急かされたり……といった、子どものストレスを、できるだけ軽減してあげることが大切です。
- ◆おもちゃの取り合いには……◆
- 双方の子どもの気持ちを代弁してあげて、「貸して」って言ってみようか?など提案します。貸し借りが難しい場合には、相手の子どもの気持ちを代弁したうえで、他の遊びに誘うなど、注意をそらすのもよいでしょう。
- 貸してくれた場合には、「貸してくれてありがとう!」と大人が相手にお礼を言ってあげることで、子どもがコミュニケーションの方法を学べます。
2歳児にぴったりの遊びは?絵本は?
心身の発達が著しい2歳児には、ぜひその発達を自然と促せるような遊びを取り入れてあげましょう。子どもたちの好奇心を刺激し、心身の発達につながる遊びをいくつかご紹介します!
- ◆オススメの戸外遊び◆
- ●ボール遊び
●追いかけっこ
●しっぽ取りゲーム
●電車ごっこ
●鉄棒ぶら下がり
体幹を鍛え、バランス感覚を養うには、ボールを蹴って遊ぶのがオススメ。2歳半くらいになると、数秒間は鉄棒にぶら下がって遊ぶこともできるようになります。
思いのままに走ったり、逃げる大人を追いかけたり、ということが楽しい時期なので、追いかけっこをするのもよいでしょう。
- ◆オススメの室内遊び◆
- ●新聞紙ちぎり
●まねっこ遊び
●積み木・ブロック遊び
●ビニール風船
●お絵かき
●おままごと
手先が器用になってきますので、紙を細かくちぎったり、画用紙にクレヨンで絵を描いたりして、室内遊びを楽しみましょう。
動物のまねっこをして跳ねまわったり、ビニール袋に空気を入れたものを放り投げて、追いかけたりすることで、雨の日でも体を動かして楽しむことができるでしょう。
電話ごっこなど、社会性を身につけるために、見立て遊び、つもり遊びを活用してもよいですね。
編集者より
日本では「魔の2歳児」、海外では「terrible two」と、世界共通で保護者が接し方に苦戦するという2歳児。この時期の子どもを抱える保護者は、育児疲れに悩むことも多くなると言われています。
保育士さん自身、子どもたちとの接し方に悩むこともあるかと思いますが、この時期は子どもたちに適切な働きかけを行うのみでなく、保護者の悩みや相談に対し、適切なアドバイスを行うことも、大切な役割となります。
保護者からすれば手の付けられない「イヤイヤ」も、自我がしっかり育っている証拠であること、そしてなぜこういった「イヤイヤ期」が現れるのか、そのメカニズムもしっかり伝えたうえで、かかわり方のコツを伝えてあげられたらよいですね。
参考文献・サイト
- ALLAbout暮らし『イヤイヤ期とは?2歳児の言葉や身体の発達と成長』(2018/10/25)
- 厚生労働省『平成22年度 乳幼児身体発育調査』(2018/10/25)
- アカイク『生後2歳赤ちゃんの成長と育児で知っておきたいこと』(2018/10/25)
- マイナビウーマン子育て『【医師取材】2歳児の発達・成長の特徴は? 虫歯予防やトイレトレーニングの進め方』(2018/10/25)
- mamanokoto『2歳児におすすめの遊びや発達の特徴は?保育士がすすめる子どもに合った遊びを紹介』(2018/10/25)
- マイナビニュース『”魔の2歳児”はどうして生じる? イヤイヤ期のメカニズムに迫る』