多様化する保育のニーズに応えるため、保育所の形態は「認可」「無認可」の二択だけではなくなってきました。
代表的なのが、東京都独自の認証を受けることによって補助金が交付される「認証保育園」です。
そのひとつが、神奈川県横浜市で実施されている「横浜保育室」です。
今回の記事では、この「横浜保育室」について解説!
さらに、横浜市・神奈川県で働くことを検討している保育士さんにも嬉しい、自治体の独自制度なども一挙にご紹介します!
横浜保育室とは?
横浜保育室とは、横浜市が独自に設けている基準を満たして市の認定を受けた認可外保育施設です。
横浜市内に住んでいる主に0~3歳未満の子どもを利用対象とした施設で、3歳未満の子ども4人に対して1人の保育士を確保しています。
施設によっては受け入れ可能年齢が異なっていたり、幼稚園に併設されているところもありますが、全施設で施設内調理の給食を実施しているのが大きな特徴です。
開所時間
基本の開所時間は平日7:30~18:30で、保育時間を11時間取るように設定されています。土曜日は7:30~15:30で、日曜日や祝日のほか、年末年始以外は開所しています。
施設の中には延長保育や早朝保育、休日保育を行っているところもあるので、保育室選びの際はよくチェックするようにしましょう。
保育料
3歳未満の子どもの保育料は、58,100円を上限として施設が独自に設定しています。
ただし、延長保育や早朝保育・休日保育を利用する場合は別途保育料がかかるので、合計でいくらになるのかはきちんと見積もっておく必要があります。
消費税は非課税ですが、ほかに実費負担するものがあった場合は課税となる場合があります。
また、保護者の所得やきょうだい児がいる場合などに応じて、保育料が安くなるしくみもあります。助成の対象になるかどうか、しっかり確認しておきたいですね。
利用対象
横浜保育室を利用できるのは、「横浜市・川崎市在住で」「保護者が月16日・1日4時間以上の就労をしている」などの理由で、子どもを保育することができない家庭です。これは認可保育所の保育の必要事由と同じです。
ただし、横浜保育室の中には一時保育を実施している施設もあるため、急病や冠婚葬祭、そのほか私的な理由で一時的に保育できない場合でも、保育所を利用することができます。
どうやって申し込むの?
横浜保育室に子どもを預けたい場合、保護者の方が施設と直接申し込んで契約する形になります。
なお、平成27年度からは「支給認定申請」が必要になっているので注意が必要です。
支給認定申請とは
支給認定申請とは、保育の必要性や保育料軽減助成の対象かどうかを確認するために必要な申請です。
認定を受けるためには保護者が月16日・1日4時間以上の就労をしているなど、保育の必要事由に該当している必要があります。
支給認定は主に以下のように区分されています。
1号認定 | 満3歳以上の小学校就学前の子どもで、学校教育のみを受ける場合 |
2号認定 | 満3歳以上の小学校就学前の子どもで、保育を必要とする場合 |
3号認定 | 満3歳未満の子どもで、保育を必要とする場合 |
参考:神戸市「支給認定」
横浜保育室を利用する場合は2号か3号の認定が必要になります。そのため、申請の際には以下のものを用意して、お住まいの市(区)へ提出しましょう。
- 支給認定申請書(2・3号用)
- 2・3号認定理由申立書
- 保育の必要性を証明する書類(雇用証明書など)
でも助成を受けたい場合には、支給認定が必要なんだホイ!
保護者負担軽減制度
支給認定決定通知書と軽減助成利用申込書(横浜保育室から配布)を申し込み先の施設に提示することで、保育料を軽減できる制度です。
保育が必要な3歳未満の子どものうち、支給認定決定通知書に記載されている市民税の負担区分がA階層~D14階層の世帯が対象になります。
各助成区分ごとに、月極保育料の下限額を超える額と軽減助成額(上限)を比較して、いずれか少ない額を助成します。
【例】第1子(2歳)で負担区分はD10階層(イ区分)、保育料が58,100 円の場合
月極保育料 58,100 円 -下限額 28,100 円 = 30,000 円
30,000 円 > 軽減額 20,000 円のため、少ない方の額 20,000 円が軽減額となります。
よって負担額は月極保育料58,100 円 - 軽減額 20,000 円 = 38,100 円です。
きょうだい児多子減免
横浜保育室に入所する子どものうち、上のきょうだいが横浜保育室や認可保育園・地域保育事業所・幼稚園などを利用している世帯を対象に、保育料を軽減する制度です。
きょうだいが施設に在籍していることを証明する書類と、多子減免利用申込書(横浜保育室から配布)を申し込み先の施設に提出する必要があります。
減免される金額は以下の通りです。
「横浜保育室」に認定される条件
保育所が横浜保育室として認定を受けるためには、以下の設置条件を満たす必要があります。
設備面 | |
---|---|
保育室の面積 | 乳児~2歳児未満の子どもひとり当たり3.3㎡以上 2歳以上の子どもひとり当たり1.98㎡以上 |
設備 | 保育室のほか十分な面積の調理室、トイレ、屋外の遊戯場が設けられている 遊戯場については付近の公園でも可 |
乳児の扱い | 乳児の保育を行う場所が幼児の保育を行う場所と区画されている |
防災 | 消防署等の指導に従い、消火用具・非常口など非常災害防止に必要な設備が設けられている |
人数面 | |
---|---|
受け入れ定員 | 20名以上 |
職員配置 | 施設長 保育従事者(3分の2は保育士/常勤職員で構成) 調理員 を配置する |
職員の人数 | 3歳未満の子ども4人につき1人以上 保育従事者は常に複数配置とする |
横浜(神奈川)で保育士として働くってどうなの?
横浜保育室やそれに連なる負担軽減制度など、独自の保育サービスを設けて子育て支援に注力している横浜市。
こうした地域で保育士として働く主なメリットとしては、①住環境の充実②保育士への手厚い支援などが挙げられます。
住環境の充実
多くの路線が通っている横浜は、交通の便が大変よいのがまず外せない魅力です。
みなとみらいや関内、元町・中華街などの主要なレジャースポットに気軽に出かけられるほか、東京駅まで25分でアクセスできるため、オフの日は横浜でも都内でも気分転換できます。
都心に比べて通勤ラッシュが比較的少ないのも魅力的なポイントですね。
保育士さんへの手厚い支援
横浜市では保育士を確保するため、多くの支援事業を行っています。
特に注目したいのが、保育士の家賃を5年間補助してくれる保育士宿舎借り上げ支援事業です。
これは事業所が借り上げた宿舎に住む場合、市が家賃をおよそ6万円分助成してくれるという、とても魅力的な支援事業です。
求人票には「寮・社宅あり」や「借り上げ社宅制度あり」と記載されている場合が多く、職場を選ぶポイントのひとつになるでしょう。
とくに、隣県や他県から移住して横浜で働くことをを考えている保育士さんには魅力的ですね。
また、保育士資格取得支援事業といった支援事業も行っています。
これは横浜市内の認可保育園や認定こども園などに努めている無資格の職員が保育士資格を取得する際、講座の受講料の半額や試験受験料の全額を市が負担するというもの。
保育士資格の取得を目指している方にとっては、まさにねらい目の制度ですよね。
編集者より
保護者にとっても保育士にとっても魅力的な、手厚い支援がたくさんある横浜市。
他の都道府県に住む方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、お伝えした通り、保育士として働く上でさまざまなメリットがあります。
お仕事探しの際は、見知った土地や自分の行動エリアに検索範囲を絞ってしまいがち。しかし一度視野を広げてみれば、より理想的な職場に出会えるかもしれませんよ!
参考文献・サイト
- ヨコハマはぴねすぽっと「横浜保育室のご案内」(2018/07/04)
- 保育士くらぶ「保育士が働きやすい街は横浜?給料や手当に注目!」(2018/06/05)