保育士の仕事で必ず必要になってくるのが、「保育日誌」や「月案・週案」、「クラスだより」などの書類関係の作成です。いざ書こうとすると「ペンが進まず時間だけが過ぎていってしまった」という経験は、新人保育士さんなら無縁ではないはずです。
『先輩が教えてくれる!新人保育士のきほん(翔泳社刊)』の中から、ベテラン保育士さんが教える仕事術を紹介する連載の第2回となる今回は、「書類作業の短縮術」をピックアップします。新人のうちから意識しておけば、保育士としての成長スピードも上がるので、新人保育士さんは要チェックです!
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書類作業のコツは事前準備がポイント
書類仕事になるべく時間をかけないコツですが、「作業に入る前にどれだけ準備ができているか」がポイントになります。
日頃からのストックが重要
たとえば、日誌で書けそうなことなどは日頃からメモをストックしておき、指導案などの参考になる書類や過去の例を手元に用意しておきましょう。また、よく使う文などは、テンプレート化しておき、キーワードをひな形に当てはめるだけで一文ができるようにしておくと、書くスピードも大幅にアップします。
よい言い回しなどができたとき、参考になる文を見つけたときは、少し手間をかけてコツコツとストックしておくことで、次からの作業時間の短縮につながります。最初は少し手間に感じるかもしれませんが、経験を重ねることで、毎回記憶を頼りに文章を作り続けるよりも効率的に作業が進められるようになります。
保育専門誌を最大限に有効活用!
保育専門誌には、指導計画やおたよりなどの文例が掲載されているので、参考にしてみてください。書き方の基本やポイントがわかるので、特に書類関係の業務に慣れていない新人の頃は助けになってくれますし、作業スピードもアップします。
注意したいこととして、そのまま文例を丸写しにしないということです。自分の考えが組み込まれていないものには意味がありませんし、内容の理解も薄くなり、いつまで経っても書く力が身に付きません。あくまで参考として使い、園の方針や状況にあわせて必要な個所を修正、追記していきましょう。
明日から使える文例・テンプレート
気に入った文章や言い回しは用途や月(季節)別に分類してストックして、書類のバリエーションを増やしましょう。
書き出し文例
書き出しは、季節感を混ぜながら子どもたちにも言及するのが基本です。その季節ごとの文例を数パターンずつ用意しておけば、書き出しに悩むことは少なくなり、書類の作成スピードもアップします。
締めの文例
書き出しだけでなく、締めの文章もストックしておくと「最後になってまた時間がかかっている……」ということもなくなります。書き出しと同様時期に合わせたパターンを複数用意しておくと良いでしょう。
用途別の文例
そのほか、連絡帳などの文例も紹介します。
【連絡帳】
・最近、□□をしてくれるようになった、○○ちゃん。△△のところに行っては、××そうに披露してくれます。
【保育指導案】
・××な活動を取り入れつつ、△△な環境を設定することによって、○○さんを~する姿にしたい。
【保育日誌】
・○○と言って△△な様子だったため、□□ではないかと考え××しました。
子どもの数だけ書く必要がある「連絡帳」や「保育日誌」は、あらかじめパターンを用意しておき、それに当てはめて内容を変えて書くと作成スピードがアップします。
文字数を減らせばさらに作業効率がアップ
文例やテンプレートを使って書くスピードを早くすることと、もう一つ「文字を減らす」ことを意識すると作業時間の短縮につながります。
例えば、保育日誌に以下のように書いていたとします。
まとめ
「書くスピードをアップする」・「文字数を減らす」両方を行ってはじめて「できる保育士」です。新人であれば文例やテンプレートの数も少なく、慣れない作業で時間がかかるかもしれません。
ですが、意識するのとしないのとでは、1週間後、1ヶ月後、1年後……保育者としてのスキルアップに差がでます。
普段からメモを取り、書類作業の短縮を意識してあなたも「残業しない、できる保育士」に一歩でも近づきましょう!
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『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん』の著者紹介
- 中野悠人
保育士資格・幼稚園教諭二種免許を取得。私立幼稚園勤務後、現役保育士や児童福祉施設に関わる人を取材し、ウェブサイト『やさしい保育士入門』を制作・運営。 - 山下智子
九州大谷短期大学幼児教育学科卒業後、私立・公立の保育所で保育士として勤務。その後大学で心理学も学び、現在は学校法人滋慶学園東京スポーツ・レクリエーション専門学校こども保育スポーツ科で実習担当として多くの学生指導にあたる。近畿大学九州短期大学通信教育部保育科の非常勤講師としても勤務。
※この記事は、株式会社 翔泳社とのコラボ企画です。記事の無断転載や引用などは禁止しています。