保育の基礎知識

小規模保育とは? 保育士として働くメリット&デメリット

一般的な認可保育所等よりも預かり人数の定員数が少なく、0~3歳未満の子どもを預かるための保育施設「小規模保育施設」

「子ども一人ひとりに寄り添った保育がしたい」「家庭的な環境で保育がしたい」といった理由で転職を目指す保育士さんにも、人気の施設形態のひとつです。

今回はそんな小規模保育について、その特徴をお伝えするとともに、働く保育士さんにとってのメリット・デメリットをご紹介します!

「小規模保育」ってどんなもの?

小規模保育とはその名のとおり、定員6人以上19人以下の少人数で行う、0歳~3歳未満の子どもを対象とした保育です。

待機児童問題の解消や多様化するニーズにあわせた保育の拡充を目指して2015年から始まった「子ども・子育て支援新制度」において、新たに設けられた「地域型保育(※)」のうちのひとつです。

地域型保育とは

保育所(原則定員20人以上)よりも少人数単位で0~2歳の子どもを保育する事業のこと。
以下の4つのタイプがあります。

  • 家庭的保育(保育ママ)
  • 小規模保育
  • 事業所内保育
  • 居宅訪問型保育
対象が0~2歳児に限定されているのは、待機児童として多かったのがこの年代だったからホィ。

小規模保育には「A型・B型・C型」の3種類がある

小規模保育には、職員の配置基準や保有資格にあわせて「A型」「B型」「C型」の3種類の認可基準があります。

種類 配置人数基準 職員の資格 保育室等
A型 【0歳児】3:1
【1・2歳児】6:1
※上記の保育所配置基準に加え1名の追加配置
保育士
※保健師または看護師等の特例あり(1人まで)
【0・1歳児】1人あたり3.3平方メートル
【2歳児】1人あたり1.98平方メートル
B型 【0歳児】3:1
【1・2歳児】6:1
※上記の保育所配置基準に加え1名の追加配置
1/2以上保育士
※保健師または看護師等の特例あり(1人まで)
※保育士以外には研修を実施
【0・1歳児】1人あたり3.3平方メートル
【2歳児】1人あたり1.98平方メートル
C型 【0~2歳児】3:1
※補助者を置く場合は5:2
家庭的保育者
※市町村長が行う研修を終了した保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者
【0~2歳児】1人あたり3.3平方メートル
ちなみに、A型・B型・C型いずれの小規模保育施設でも、給食は自園調理(連携施設などからの搬入も可)だよ。

職員の手厚い配置人数が特徴

保育の質を確保するため、A型、B型は認可保育所の配置人数に1名の追加配置をすることとなっています。
またC型は0歳~2歳児まで3:1での配置となっています。

配置基準どおりの職員配置だった場合を考えると、小規模保育では職員の数がより多く配置されることとなるため、保育者1人が見る子どもの人数は少なくなります。

「小規模保育」で働く5つのメリット

では、ここからは小規模保育園で働くメリットを紹介していきましょう。

①子ども一人ひとりに寄り添える

小規模保育施設では、先にご紹介したとおり認可保育所と比較しても手厚い職員配置がされていますので、保育士さんの負担が比較的少ないというメリットがあります。
「子ども一人ひとりに寄り添った保育がしたい」保育士さんにとっては、充実感のある保育ができるでしょう。

また、小規模保育はマンションの一室など、コンパクトなスペースで行われることが多いです。
一人ひとりの子どもにしっかり目が行き届くため、安全できめ細やかな保育を実践することにも繋げられるでしょう。

②行事や会議の負担が少ない

小規模保育で預かるのは0~3歳未満の子ども達。
そのため施設の方針にもよりますが、大がかりな行事が一般園に比べて少ないのも特徴です。

保育士さんにとって、運動会や生活発表会といった行事の準備は大変なもの。
そのために会議を行ったり残業をしたりという負担が少ないのは、働く上でのひとつのメリットと言えるでしょう。

③体力的に楽な部分も……

小規模保育では園庭でかけっこをしたり体操を行ったりといった活発な活動が少ないため、体力的な負担を軽減できるのも特徴です。

駅付近の商業施設やビルの一角で保育を行っているなど、比較的通勤が楽な施設も多いため、そういった施設を選べば通勤のストレスを減らすこともできるでしょう。

④人間関係のストレスが軽減できる

小規模保育では預かる子どもの定員が最大でも19人までと少ない分、職員数も大規模園と比べて少なめです。
そのため、多くの職員とうまく人間関係を保っていかなくてはならない……という負担を軽減できるでしょう。

限られた職員とうまく連携を取って園を運営していくため、人間関係の負担がまったくないわけではありませんが、良好な関係を保てれば比較的ストレスなく働くことができるはずです。

⑤乳児保育のスペシャリストを目指せる

小規模保育では3歳より上の年齢の子ども達を預からないため、「乳児保育を中心に保育士としての経験を積んでいきたい」方にはぴったりの環境です。

赤ちゃんのお世話が大好き! という保育士さんはもちろん、乳児保育のスペシャリストを目指したいという方にもオススメです。

小規模保育で働くうえでの注意点は?

保育士の体調

働くうえでさまざまなメリットがあり、転職を希望する保育士さんからの人気も高い「小規模保育」。
ですが、いっぽうでデメリットとなりうる注意点もあります。

幅広い経験を積むことが難しい

行事の運営スキルや、大人数の子どもを見るスキルなど、小規模保育のなかだけでは身につかないことも多いです。
3歳児より上の子ども達の保育や一斉保育など、大規模な保育施設でなければ経験できないこともあります。

「今後自分が保育士としてどのようなキャリアを積んでいきたいか」はきちんと考えておきましょう。

安全には最大限の配慮が必要

言葉での意思疎通ができない低年齢の子どもの保育には、難しい一面もあります。

SIDS(乳幼児突然死症候群)の危険性への配慮や事故防止など、安全に対する意識は常に高く持っておく必要があります。

保護者へのきめ細やかなフォローが必要

小規模保育園は3歳未満の子どもしか預かることができないため、子ども達は3歳以降、連携園などへ入園することとなります。

卒園まで同じ園で過ごせる認可園などとは異なるため、保護者に対してもきめ細やかなフォローが必要です。

行事などにやりがいを感じる場合はミスマッチも……

運動会や生活発表会、卒園式などの行事にやりがいや楽しさを感じる保育士さんの場合、行事が少ない小規模保育園での保育は「もの足りない」と感じてしまう可能性もあります

自分が保育業務のどこにやりがいを感じるのかによって、メリット・デメリットは変わってくるよ。

人間関係に行き詰まってしまうリスクもある

小規模で職員数が少ない分、万が一人間関係がうまくいかなかった場合に「逃げ場がない」状態に陥ってしまう可能性もあります。

とくに保育士資格を持つ職員とそうでない職員がいる園の場合には、「どのように連携を取り、うまく人間関係を保っていくのか」を日頃から話し合い、良好な関係性を保っていく必要があるでしょう。

小規模保育の求人を探すには

言葉かけ

待機児童問題解消のための各自治体の取り組みや、保育ニーズの多様化で、施設数が増えつつある小規模保育施設。
それに伴い、小規模保育施設の保育士求人も増加しています。

現在「保育のお仕事」に掲載されている小規模保育園の求人は782件(※2020年6月時点)。
既存の保育施設はもちろん、新たにオープンする園もあるので定期的に求人サイトをチェックして、希望条件に合う求人を探してみるとよいでしょう。

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編集者より

今回は小規模保育園の特徴と、働くうえでのメリット・デメリットをお伝えしました。

現在はさまざまな保育ニーズにあわせて多彩な保育施設があり、それぞれ提供している保育サービスも保育の方針もさまざまです。
だからこそ保育士さん自身も「どのような保育士になりたいか」「今後どんなキャリアを築いていきたいか」ということを、よりじっくりと考える必要があるでしょう。

今回ご紹介した内容が、あなたに合った職場探しに少しでも役立つことを願っています。

参考文献・サイト

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