出産や育児で一旦職を離れた方、別の職種を経験した後にまた保育に関わりたいと考えた方など、ブランクからの保育士復帰はなにかと不安がつきもの。不利にならないの?面接でブランクについて聞かれたら?今回はそんな疑問にお答えするとともに、ブランクのある場合の転職活動のポイントをご紹介します!
ブランク=不利とは限らない!?
「いちどブランクが空いてしまうと、再就職は難しい…」そのように思う方は多いのではないでしょうか。漠然とした不安を抱えていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんね。ではそういった不安や、再就職が難しいと感じてしまうことの要因は一体どんなものでしょうか。
- ◆ブランクによる再就職の懸念点◆
- □ 新しい保育知識や、業界の変化に対する不安
□ 現場を離れてしまったことによる技術上の衰え
□ 年齢を重ねたことによる体力的な心配
□ 家庭(育児)との両立ができるかという不安
□ 年下の先輩職員など、新たな人間関係の構築の難しさ
このように、再就職に二の足を踏んでしまう要因はたくさんあります。しかしながらこういった不安要素を一つひとつ取り除いていけば、ブランクからの再就職は決して不可能なことではなく、実際長期のブランクから保育業界に復帰された方もたくさんいらっしゃいます。
現在は待機児童問題が深刻でありながら、その課題解決に欠かせない保育士さんが不足しています。そのため現場での経験を持っている方は貴重な存在です。また、地域差はあるものの、求人数も施設数の増加に伴って多くなっています。
ブランクがあっても、保育士さんのニーズは高く十分に再就職の可能性がある、そのことを頭に置いてひとつひとつ不安要素を取り除いていくことが大切ですね。
不安を払しょくするために…
では不安要素をどのように取り除いていったら良いか、その具体的な方法をお伝えしましょう。
- ◆業界の変化や保育知識、技術に関する不安◆
- 現場を離れてしまうと、業界の変化に追いつけなかったり、知識が技術が衰えたりして復帰が不安になるでしょう。そんな時には、「ブランクOK/ブランクのある方歓迎」といった記載のある求人を探してみましょう。入職の際に研修を受講できる、教育体制がきちんと整えられているなど、ブランクがあってもスムーズに感覚を取り戻せる環境が整っています。
また、都道府県や各自治体のハローワークでは、潜在保育士のための職場復帰セミナーを開催していることも多くあります。事前の申し込みが必要ではありますが、就職活動の前に、知識を蓄えておきたいという場合には、参加してみるのも良いでしょう。
- ◆体力的な不安や時間的制約◆
- 年齢を重ねて、以前のように働くことができるかどうか不安…。子育てとの両立で、以前のように遅くまで残業したり、持ち帰りの仕事をしたり…といった融通が利かない。そのような不安から職場復帰に踏み出せない場合には、雇用形態を見直してみましょう。
基本的に育児短時間勤務の適用は、勤続1年以上であることが条件となっていますので、入職と同時に時短勤務、ということは難しいのが現状です。もしも子どものために夕方にはお迎えに行かなくてはならない、体力的にフルタイムで活躍できる自信がない…ということでしたら、まずはパートタイムなどの非正規雇用枠で就業してみてはいかがでしょうか。
確かに収入額は減りますが、正規職員への登用制度があるならば、後々切り替えることも可能でしょう。体や家庭を”犠牲にする”のではなく、うまく両立できる方法を探すことが、長期的にキャリアを築くための第一歩です。
- ◆人間関係に関する不安◆
- 当然ながら、ブランクなく保育業界で働き続けてきた方に比べ、ブランクのある方は経験が少なくなります。ブランクの長さによっては、かなり年下の方でも、保育経験は長い…といった状況にもなり得るため、うまく人間関係が築いていけるのか不安に感じることも多いはずです。
人間関係については、入職してみないとわからない部分も多いですが、まず中途採用特にブランクのある人材の採用歴がある職場ならば、不安を理解してくれる職員がいるかもしれません。また、自分自身の心がけも重要です。年長者だから、自分のやっていた方法はこうだから…と意地を張ることなく、柔軟に新しいやり方を学び取り入れていけば、自然と円満な人間関係も築けることでしょう。
ブランクがある時のアピールポイント&注意点
では、ここからはブランクがある場合の自己アピールのコツと、注意したい点をまとめてみましょう。まず、ブランクがあったとしても、資格だけでなく保育現場での経験があるということは大きな強みです。過去にどういった取り組みをして、どのような経験を積んできたかは、面接などでしっかり伝えましょう。
そして保育から一度離れた理由や、復帰しようと考えたきっかけも、場合によってはアピールのポイントになります。保育業界を離れて見えた保育のすばらしさや、自分の仕事の価値観などについて、ブランク期間中に学びがあったならば、その熱い思いを人事にしっかり伝えましょう。
面接でブランクについて聞かれた時の対処法
いざ再就職をめざす上で、高いハードルとなるのが面接。内定を勝ち取るためには欠かせないステップとなりますので、聞かれたことに対してしっかりと受け答えできるよう、準備しておくと良いでしょう。
- ◆面接で聞かれやすい質問◆
- □ なぜ前職をお辞めになったのですか?
□ ブランクがありますがその理由は何ですか?
□ ブランクの間は何をされていましたか?
□ なぜまた保育士に復帰されようと思ったのですか?
ブランクについては、単に経歴を確認するだけでなく、「長く働くことができる人物であるか」「働く上で必要となる最低限の経験や、仕事への意欲を持ち合わせているか」を見極める目的でも聞かれます。実際に答えるうえでの注意点をご説明します。
- ◆なぜ前職をお辞めになったのですか?◆
- 他の業種も経験してみたくなった、育児に専念することとなった、さまざまな理由があることと思います。基本的には事実を伝えて問題ありませんが、ネガティブな情報のみ伝えるのはNG。
「人間関係がうまくいかず…」とストレートに伝えるよりは、「短大在学時から保育士になることだけを目指し夢を実現しましたが、保育士としてさまざまな仕事に従事されている保護者とコミュニケーションを取る中で、自分自身も広く社会経験を積むことで、より保護者の気持ちに寄り添った対応ができるのではないかと考え…」など、前向きな姿勢を見せると良いでしょう。
- ◆ブランクがありますがその理由は何ですか?◆
- 家庭に入ったり、勉強のために次の就業までに時間がある場合には、よく問われる質問です。前職の離職理由同様、基本的にはそのとき自分が考えたことを正直に伝えて良いでしょう。
育児に専念された場合などは、職場に復帰することは考えなかったのかなど、聞かれることもあるかと思いますが、ご自身の育児への考え方や、その経験を将来的に保育に活かそうと考えた旨など、ご自身の想いを前向きに伝えられると良いですね。
- ◆ブランクの間は何をされていましたか?◆
- こちらも同様に他の仕事をしていたならばその詳細を、育児や介護に専念されていたならそのことを話しましょう。ただし、まったく保育のことを除外したエピソードでは、関連性が見えにくくなります。将来的にどのような人生設計をしてその選択をしたのか、その経験から何を学んだか、単なる事実だけでなく、これからを見据えた回答を心がけましょう。
- ◆なぜまた保育士に復帰されようと思ったのですか?◆
- 保育への熱意、また志望動機にもつなげられるアピールチャンスです。ブランクの間に自分が思ったこと、ふとした経験から自分にとって保育の重要性に気付いた瞬間など、自分自身の言葉で伝えましょう。以前保育業界で働いていた時と今との心境の変化を題材にしても良いでしょう。今後どのような保育を実践していきたいのか、そのためにどうして応募先を選んだのか、一貫性をもって伝えることが大切です。
謙虚な学びの姿勢が大切!
入職後には、例えば自分の知っている情報について、細かに説明されたり、若手から指摘されることもあるでしょう。また、ブランク前に自分が学んだこととは違う指示を受けたり、やり方が違うと時に叱責を受けることもあるかもしれません。
プライドが傷ついたり、反論したい気持ちになったりする場面もあるかとは思いますが、そんな時にもっとも重要なもののひとつが「謙虚さ」。ブランクがあっても採用してくれたことに感謝し、以前よりも多くのことを吸収して成長しようとする姿勢があれば、周囲からの反感を買わずに、うまく人間関係も築けるはずです。自分の時にはこうだったけれど、こんな考え方もあるんだ…。まずは人から学ぶつもりで、多くの発見を日々積み重ねていけたら良いですね。
編集者より
「保育士以外の仕事も経験してみたかった」「子どもが生まれたら育児に専念したかった」「学びたいことが別にあった」…皆さまが前職を辞められた理由も、もう一度保育の現場に戻ろうと思われたきっかけも、さまざまでしょう。
復帰してやっていけるのか、ブランクのある自分に働ける場所はないのではないか?今はそんな不安が大きいかもしれません。しかし、保育の現場から離れて経験したこと、そしてまた保育業界に戻ろうと決意されたその決断は、きっと皆さまにとって大きな力になることと存じます。
ブランクがあるから…と二の足を踏むよりも、まずは一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。もちろん、私たちも皆さまのお仕事探しを全力でサポートいたします。一緒にあなたがいきいきと働ける職場を探していきませんか?
参考文献・サイト
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