転職を希望する保育士さんにとって、自分が「ここで働きたい!」と思えるような保育園との出会いは、とても大切です。
「せっかく転職するのだから、毎日生き生きと輝ける園で働きたい……」「長く働ける職場を探したい……」
そんなときに役立つのが、応募前に施設や職場の雰囲気をチェックすることができる「園見学」です。
今回は中途採用での就職を目指す保育士さん向けに、園見学の方法や心構え、よい職場を見極めるポイントをご紹介します。
「園見学」の目的とは?
「園見学」とは、就職を希望する保育園に応募する前に、その保育園を訪問して、施設や保育の様子などを見せてもらうこと。
保育園の設備、周囲の環境、働いている保育士さんや子どもたちの様子など、保育園の雰囲気を、実際に見ることができるので、自分にあった職場選びをするうえで、大変役立ちます。
園見学にはたくさんのメリットがある!
園見学には、次のようなメリットがあります。
見学では「自分がその保育園で働く」という視点から、園の環境をチェックできます。
どのような保育をしているのか、保育士さんの雰囲気はどうか、職員の年齢層はどれくらいなのかなど、実際に見ることで、自分がこれから長く働けそうな職場かどうか、見極めることができるでしょう。
見学までの流れとマナー
では、どのようにして園見学をすればよいのでしょうか。ここからは見学の申し込み方法や、注意すべきポイントについてくわしくご紹介していきます。
見学をしたい園を決めて電話予約をする
見学を希望する園をピックアップしたら、希望日の1ヶ月~2ヶ月前に、電話で見学予約をします。
基本的に見学の時期は決まっていませんが、運動会や生活発表会など、行事で忙しくなるシーズンを避けるなど、見学を希望する保育園に配慮する必要があります。
電話をかける時間帯は午睡中(13時~15時)に
送迎の時間帯や、保育の活動を行っている時間帯は、園に迷惑をかけてしまうため避けるようにします。子どもたちがお昼寝をしている13時から15時の間に電話をかけるとよいでしょう。
見学の時間帯は10時~11時がオススメ!
園を見学する時間帯については、日中の保育活動がしっかりと見られる時間帯、具体的には午前10時から11時ごろがオススメです。
この時間帯であれば、保育の主活動、設定保育を行う保育士さんの様子や、子どもたちの様子を見て、園の雰囲気を感じ取ることができます。
見学時間帯は、先方から指定されることが多いですが、もしも希望を聞かれた場合には午前中の時間を指定するとよいでしょう。
電話のかけ方
まず挨拶をしたうえで、氏名を名乗ります。そのうえで見学希望であることを伝えましょう。電話をかけるときには、静かな場所からかけるよう、注意しましょう。
【電話のかけ方の例】
私(わたくし)、転職サイトの〇〇で貴園の求人を拝見してお電話いたしました、〇〇〇〇(氏名)と申します。
募集要項を拝見してぜひ一度園を見学したくご連絡を差し上げましたが、今、少々お時間よろしいでしょうか?
もしも、先方が話をできない状況ならば、再度連絡するのに都合のよい時間帯を聞いておきましょう。電話ができる状況であれば、そのまま日程の調整や持ち物の確認に進みましょう。
調整ができたら、丁寧にお礼を述べて、通話を終了しましょう。
電話で確認するのはどんなこと?
電話をかける際には、必ず手元にメモとペン、スケジュール帳など予定がわかるものを準備しておきます。疑問点や聞きたいことがあれば、事前にメモに書いて忘れないようにしましょう。
電話で確認することは、以下のとおりです。
なお、担当者の都合が悪くなるなど、緊急の場合に備えて、自分の氏名と連絡先電話番号を伝えておくと安心です。
見学準備をする
見学当日までには、持ち物や着ていく服を準備し、園までのアクセスを確認します。また、当日質問したいことなどをあらかじめまとめておくようにしましょう。
一般的な持ち物は?
持ち物がとくに指定されていない場合でも、園見学には以下のものを持参するとよいでしょう。
◆メモ帳・筆記用具
メモを取るために忘れず持参しましょう。キャラクターものなどは避けてシンプルなものにしましょう。
◆上履き/スリッパ
園にも来客者用のスリッパがあることが多いですが、自分で持参するとよいでしょう。
◆クリアファイル
いただいた資料などを丁寧に扱うためにも、A4のクリアファイルがあると便利です。
◆大きめのカバン
A4サイズが入る大きめのカバンを持参しましょう。
◆ハンカチ・ティッシュ・ヘアブラシ
風で髪が乱れてしまったり、汗をかいてしまったりしたときのために、身だしなみを整えるアイテムを必ず携行しましょう。
◆ストッキング
途中で破けてしまうことも多いため、女性の場合には必ず一足は持参するようにしましょう。
◆ソーイングセット
万一ボタンが取れてしまった際にも、慌てずに対処することができます。
◆エチケットブラシ
黒や紺のスーツの場合にはホコリやふけはとても目立ちます。直前に鏡を見てエチケットブラシをかけておきましょう。
服装は正装であるスーツが基本
見学に行く際の服装は、スーツが基本です。ただし採用活動を公にしたくない場合など、園の都合でスーツ以外を着用するよう指示されている場合などは、落ち着いた、清潔感のある服装で訪問するようにしましょう。
スーツはあらかじめクリーニングに出しておくなど、清潔な状態にしておきます。髪型も清潔感のあるように整えておきます。女性の場合には、濃すぎるメイク、香水、ネイルなどはNG!注意しましょう。
園見学に行く
園見学当日は明るい表情や笑顔を心がけます。案内してくださる保育士さんや、見学中すれ違う保育士さん、子どもたちには、元気にあいさつをするようにしましょう。
見学当日の注意点
園見学当日は、約束の時間に遅れないように、時間にゆとりをもって出発しましょう。また、朝になって慌てることのないよう、持ち物は前日に用意しておきます。
また、次の点にも注意しましょう。
中途採用の場合には、「社会人としてのマナーはすでに身についているのが当然」と見られていると考えましょう。相手に「失礼だな」と感じさせるような言動には、十分注意する必要があります。
お礼状を出す
園見学が終わったら、なるべく早くお礼状を出しましょう。お礼状を出すことは義務ではありませんが、忙しい中時間を割いてくれたことに感謝し、きちんとお礼を伝えることは、社会人としてのマナーです。
お礼状には以下のような内容を書きます。
- 拝啓 貴園におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 先日は大変お忙しいところ、私のために貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
- 貴園の大切にされている、一人ひとりの子どもの育ちに寄り添った保育を、実際に拝見することができましたこと、また保育方針や園での取り組みについて、お話をうかがうことで、より具体的に、保育士として働くイメージを持つことができたと感じております。
- 〇〇園長先生をはじめ、保育士の皆さまが「子どもたちの健やかな育ちと幸せ」を第一に、協力しあいながら、愛情あふれる保育を実践されていることには、大変魅力を感じました。見学を通じて、貴園でその一員として、子どもたちの成長を見つめ、支えていきたいという気持ちが、いっそう強くなりました。
- お忙しい中失礼かと思いましたが、ぜひ御礼を申し上げたく、お便りを差し上げました。
- この度は誠にありがとうございました。
- 敬具
- 平成〇年〇月〇日
- 保 育子
- 社会福祉法人〇〇会 〇〇保育園
- 人事採用ご担当 〇〇〇〇様
- 保育士くらぶ『プロが教える保育士の面接対策!何を見られている?絶対聞かれる質問とポイント!』(2018/9/26)
- 保育士バンク!『プロが教える保育士の面接対策!何を見られている?絶対聞かれる質問とポイント!』(2018/9/26)
- 幼保就活教えてinfo+『【保育就活04】見学や実習のあとはお礼状!お礼状の書き方を教えて!【例文あり】』(2018/9/26)
【園見学のお礼状の例】
見るべきポイント
園見学の際にチェックするべきポイントをみてみましょう。
保育の方針と考え方・保育内容
保育園ごとに、目指す保育はさまざまです。その園がどういったことに力を注ぎ、どんな取り組みをしているかを、保育の様子や保育士さんのお話などから、しっかり確認しておきましょう。
「自分がどういった保育をしていきたいのか」「この園でそれが実現できるのか」という視点を持って園見学に行くと、自分に合った職場かどうかの判断がしやすくなります。
子どもたちの様子
子どもたちが「楽しそう」「幸せそう」「リラックスしている」か、という点に注目しましょう。どんなにすばらしい保育方針を掲げていても、子どもたちに届いていなければ、意味がありません。
たとえば、一人寂しそうにしている子どもがいるのに、保育士さんが関わろうとしない、逆に子どもの自主性を重んじずに、過干渉に関わっているなどの様子が見られた場合には、注意する必要があります。
園長先生や保育士さんの雰囲気
自分の同僚、先輩、上司として毎日顔を合わせる保育士さんや園長先生。職員間のやりとりや、子どもたちとの関わり方を見ながら、その雰囲気や印象を確認しておきましょう。
いきいきと笑顔で保育にあたり、気持ちのよいあいさつが交わされ、うまく連携が取れている様子がうかがえれば、安心して入職することができますね。
また年齢層についても確認しておきたいところ。若い保育士ばかり、ベテランの保育士ばかりという場合には、結婚や出産後に働きやすい環境にない、という可能性もあります。また、自分と近い世代の保育士さんがいるのかという点も、チェックしておきたいポイントです。
清掃が行き届いているか
子どもたちを預かるうえで、安全で清潔な保育環境を整備・維持できているかどうかは、保育の基本とも言えます。保育室の清潔さが保てているか、整理整頓ができているかをチェックしておきましょう。
おもちゃや絵本が充実しているか
子どもたちの成長を支えるような、良質なおもちゃや絵本がたくさんある園は、子どものことを第一に考える姿勢がうかがえます。壊れたり汚れたままになったりしていないかもチェックしてみましょう。
制作物や壁面装飾はどんなものか
楽しい壁面装飾や、子どもたちの制作物は、保育の環境をより明るく、季節感のあるものにしてくれます。
保育環境をよりよくするという点も重要ですが、保育士さんの手作りの壁面制作に力を入れている園では、その制作業務の負担が大きいことも考えられます。
子どもたちの制作物を活かしたり、ラミネートなどでうまくローテーションさせている園ならば、壁面制作の負担を軽減できるでしょう。
事故予防の工夫はあるか
たとえば、転倒しやすい場所に安全マットやクッション材が使われている、棚の角にコーナーガードが付けられているなど、安全対策をきちんと行っているか、注意しながら見てみましょう。
大切なのは「雰囲気のよさ」を感じられるかどうか
中途の場合の見学は時間が30分程度のところもあるなど、全体に見学時間が短く簡素な傾向にあります。短時間の園見学では、ご紹介したすべての項目をじっくり見ることは、難しいかもしれません。そのような場合には、全体として「よい雰囲気を感じたかどうか」を判断材料にします。
直観的な「合う・合わない」といった感覚は、今後その園で働いていくうえでは重要なもの。見学後は、自分がその職場をどう感じたのか、前向きに生き生きと働けそうに感じたかという目線で、その保育園を見つめなおしてみるとよいでしょう。
編集者より
自分の知らない保育園に見学に行くというのは、楽しみもある反面、不安や緊張もあるかもしれません。しかし、面接や書類選考対策以上に、「自分にあった園を探す」ということは重要なこと。保育士として、今よりもっと生き生きと活躍するためにも、ぜひリラックスして保育園やそこで働く保育士さんたちとの「出会い」を大切にしてくださいね。
あなたの転職活動の成功を、心より願っています!
▼転職活動全体の流れが知りたい方はコチラの記事も参考に!
参考文献・サイト
◆転職なら『保育のお仕事』におまかせ!◆
保育業界で転職をお考えですか? それならば『保育のお仕事』におまかせください。
無料であなたの転職をプロが徹底サポート! あなたにピッタリの職場を一緒に見つけましょう!お気軽にご相談くださいね♪