就職・転職ガイド

キャリアアドバイザーが教える保育士さんの自己PR術~経験別例文も~

履歴書、面接、作文……就職・転職活動のあらゆる場面で求められる自己PR
そうはいっても、普段自分のことをPRする機会は少なく、どうしたらいいのか不安に思う方もいるかもしれません。
今回は、多くの保育士さんを転職成功に導いてきた保育のお仕事キャリアアドバイザー(以下CA)に、保育士さんならではの自己PR術を聞いてみました!

「自己PR」って何?保育士さんが意識したいポイントは?

就職・転職活動における自己PRとは、自分がどんな人か知ってもらうそして「一緒に働きたい!」と園に思ってもらうための大切な機会です。

さらに、保育士ならではの欠かせないポイントもあります。

園によってカラーも重視する事柄もそれぞれ。
しかし、共通してどの園も重視していることはなにより「子どもが好き!」という強い思いをもっていることです。

言葉がきれいにまとまらなくても大丈夫。
子どもと真剣に向き合った経験に目を向け、心から「子どものことが好きだ」という思いを伝えられる自己PRを心がけましょう。

「子どもが好き!」のその先まで


「子どもが好きだから」という思いで保育士・幼稚園教諭になった方はたくさんいるはずです。働き始めてから「子どもが好き」という思いだけではつとまらないような大変な出来事やギャップもあったことでしょう……。

そこで「子どもが好き」ということに絡めて、仕事でのギャップがあり、それに対して「どう感じたか」。そして、乗り越えられた・乗り越えようと努力した具体的なエピソードとともに「それでも子どもと関わっていきたい!」という思いを披露できるとよいですね。
「立派な功績や記録の数々が自分には無いなぁ……」と思っていても安心してね! 実績よりも「思い」を重視する園がほとんどだよ!
そうホィね。曖昧で抽象的な言葉で色々書くのではなく、どれだけの熱量で何をどうやって取り組んだか、人となり具体的なエピソードが伝えられる自己PRを目指すホィ!

「自己PR」のためのエピソード選び


「子どもが好き」という軸はぶらさずに、子どもと関わって感じたことや具体的なエピソードを自己PRに用いるとよいことが分かりました。

では実際にどんなエピソードが自己PRにつながるのでしょうか。
ここでは、「自分の長所・成功体験」と「自分の短所・失敗体験」、それぞれの自己PRの書き方を紹介します。

エピソード探しやエピソードを深堀りしていく自己分析の方法はこちらも参考に!

保育士さんのための自己分析方法4選~転職で私らしい働き方実現のために~転職活動のスタートラインともいえる自己分析。 今回は転職を考える保育士さんやこれから保育業界を目指す方へ自己分析をするメリットや方法を...

好印象な自分の長所・成功体験のPR方法


自分の長所・成功したと感じていることでも一度客観的にみて、自己PRとしてふさわしいか考えてみましょう。

自分の長所・成功体験の選び方のポイントは……

●自分本位ではなく子どもや保護者などを思った上で起こした行動
●資格やコンクールの実績など客観的な事実
●偶然の重なりの結果ではなく、再現性がある内容
●「一緒に働きたい」と思える協調性がうかがえるエピソード

【特技をアピールする:自己PR例文】ピアノで子どもの遊びが広がった

たとえば、「ピアノが得意」ということをPRしたい場合でも、以下のようなエピソードを添えれば「子どもの思いをくんで、どう働きかけて、どのような変化が起きたのか」がわかるので採用担当者も心を打たれるでしょう。

ピアノが得意なので、子ども達の反応を見ながらピアノを弾いて歌を歌う時間をよく取り入れていました。すると子ども達も私の姿を見てピアノを弾いてみたり、「なぜ音が出るのか」興味をもつようになりました。そこでピアノについて知っていることを教えたり、ホールのピアノの中を見せて子ども達と音の出る仕組みを考えたりしました。さらには子ども達の間で楽器を手作りしたり、今では自発的に音楽の時間がおこなわれるようになりました。

強みを伝える時は根拠となる事実が必要だホィ!
応募先のホームページをチェックして、園の特色と自分の強みが重なる部分を探してみましょう。自己PRだけでなく立派な志望動機になりますよ!

自己PRに最適な「失敗体験」の選び方


法律や園のルールを守らなかったり人を傷つけたりといった倫理感に欠ける問題、また今後の仕事上の懸念点になるような、例えば子どもの安全を損なう恐れのあるミスなどは避けましょう。

また、「失敗から何かを学び取り、次に活かせた経験である」ことが大前提。指導を受け、言われたまま改善したのではなく、再発防止のために何か取り組んだ経験をアピールしましょう。

失敗体験の選び方のポイントは……

◆組織に大きな損害をあたえていないこと
◆取り返しのつかないものでないこと
◆今後の大きな懸念点にならないものであること
◆その失敗から学び、成長できた経験であること
◆成長した点を今後の仕事に活かすイメージができること

ネガティブなできごとを選ぶ場合は、現職の不満や愚痴だけ、自信を失っただけのエピソードにならないよう見直しをしてみましょう! 仮に乗り越えられなかった経験でも「このような改善をしていきたい」という前向きさが重要です。
面接でもよく聞かれる質問だからしっかり考えておくホィ!

経験別!自己PR作成のポイント&例文集


ここからは経験別で自己PRの作成ポイントを紹介しています。
新卒/業界未経験/中堅/ベテランによって園から求められるものも異なります。
保育業界のことを知り尽くしたCA達によるアドバイスもぜひ参考にしてみてください。

新卒向け自己PR作成の基本

新卒や他業界からの転職で未経験の場合、園での即戦力としての能力は持ち合わせていません。
そのため素直さや積極性、やる気「園で活躍してくれそうだ」という可能性を感じられることがポイントになってきます。

経験はなくても他の園のやり方にとらわれていないので、未経験の新卒さんなどは園によっては喜ばれます。
一方で、「長く続けてくれるかどうか」を大変気にしています。
必然的にメンタル面のアピールが多くなるかと思いますが、
どんな状況でも頑張っていこうとする決意やる気を伝えることを心がけましょう。

以下に学生など「新卒向け」の自己PR例を紹介します。

【新卒向け:自己PR例文】保育実習中に体調を悪くした経験

私のモットーは、自己管理を徹底することです。以前、保育実習中にめまいをおこしてしまい、先輩方にご迷惑をおかけしてしまったことがあります。制作に励み、ほぼ徹夜で2日間過ごしたことが原因でした。

その時に先輩から「子どものためを思うなら、まず自分を大切にしなくてはいけない」というお言葉を頂き、自己管理の重要性に気付かされました。先輩にはとても感謝しています。
それ以来、食事や睡眠に気を配るようにし、卒業まで無欠席で過ごすことができました。自分にできる最良の仕事をするためにも、今後も自己管理に気を配り、いつも元気な姿で子ども達と接してまいります。

面接の場でも重視されるのは実習での経験。
学校の勉強だけでは気づかなかった現場の大変さをどう感じて、乗り越えたのかを書きましょう!

未経験者向け自己PR作成の基本

前職が他の職種だった場合でも、積極性や意欲の高さをアピールできるポイントがあるはずです。私生活や学生時代、前職のことでも構いません。
ビジネスマンとしての華々しい実績よりも保育業界への熱意を、保育業界の方にも分かるように伝えることが重要です。

たとえば、ずっと保育一本でやられてきた高齢の園長先生・理事長先生相手に「〇〇のプロジェクトで××万円の利益を出しました」と説明してもいまいちピンとこないかもしれません。
また「なぜ保育業界を志すのか」そのきっかけも伝えられるとよいですね。

【未経験者向け:自己PR例文】他業界から保育業界への転職

私のモットーは「素直であること」です。

前職ではファミリー向けのニュースを発信するメディアを運営していました。その際、上司から「あなたはデータの分析が得意だけど、よりファミリーの気持ちや行動に寄り添って考えられるとさらによいね」とアドバイスをいただきました。それからは時間があればファミリーが集まるスポットに出かけて、どのようなことに困っているのかを観察しました。時には自分より若いお母さんにも丁寧に話を伺って仕事に活かしました。前職は出産を期に退職してしまいましたが、子育ての大変さも実感した上で、顔の見える子ども・家族の役に立ちたいと思い保育を志望しました。

事務職などからの転職の場合、ぜひ忘れずアピールしてほしいのは「パソコンが使える」こと。まだまだパソコンに苦手意識をもつ人が多い保育の業界。一般企業では当たり前のスキルでも十分にアピールポイントになります。
また子育ての経験がある方は子どもと接する上で感じたこと・考えたことも織り交ぜてみてください。

若手~中堅(役職経験なし)の場合の自己PR作成の基本

「まだ経験が浅い」「複数の園を短期間で転々と移ってきた」という場合もあるでしょう。

ベテランでない場合、経験より人柄重視で採用することが多いです。
保育に携わって5年以下の方に関しては、経験より他のことでアピールした方がよいと思います。

もちろん業務で工夫してきた点や経験してきた内容からアピールしてもよいですが、前園でのやり方にとらわれすぎない柔軟性、そして真面目さ努力家などといった人柄の魅力をアピールできるよう心がけましょう。

【若手~中堅:自己PR例文】積極性と資格取得をPRする

私の長所は、何事にも積極的にチャレンジする精神と行動力があることです。

1学年120名以上の幼稚園で勤務するなか、より一人ひとりの子どもに寄り添った保育・幼児教育を実践するために、通信教育でチャイルドマインダーの資格を取得しました。現職では3歳児30名のクラス担任(2人体制)を任されております。

資格がある場合は、その資格を活かしてどのように保育にあたっているのかも具体的に伝えられるとよいホィ!
また、残念ながらまだまだ男性保育士への偏見もある世の中。男性保育士で特に乳児保育を志している方は、「どのように保護者や周囲と信頼関係を築いてきたか」を丁寧に伝えましょう。
女性と比べて体力もあり、元気な保育士像を期待されていることも多いので自信をもってのぞんでくださいね!

役職者を目指す!ベテランの自己PRの基本

保育に関するノウハウはもちろんマネジメント経験のアピールも重要になってきます。自分がどのようなことを心がけ、どうチームワークを発揮したり後輩に指導をしたりしてきたか、さらにその経験の活かし方などに触れるようにしましょう。

主任や学年リーダーなどマネジメントの経験がPRのメインになります。
「私はこれだけできますよ!」という押しの強さが前面に出てしまうのはNG。やわらかい、良好な人間関係を築けるようなイメージがわくように。採用担当者は「園の人達に慕われるような人かな?」ということをチェックしています。

【役職経験者向け:自己PR例文】主任として若手のサポートを頑張りたい

私は現在○○保育園にて主任を任され、保育士20名と調理部門のとりまとめ、意見収集と園長への提言、採用時の面接の補佐などを行っております。

その中で私が特に注力したことは、「意見を言える場の提供」と「フラットな関係づくり」です。新人の保育士は忙しさや保護者または他の保育士との関係性などに悩むことも多くあります。
そのため1カ月に1度は必ず保育士との面談の機会を設け、不安な点や悩みを相談できるようにしています。
また、どんなに忙しくても積極的な声かけを行うことで役職という壁を出来るだけ感じさせない関係づくりを目指しています。

貴園ではこの経験を活かし、若い保育士がストレスをできるだけ感じずに保育に専念できる環境づくりを目指していきたいと考えております。

転職に限らず、園内の昇進・役職面接でも心がけたいアピール方法だね。

その「自己PR」ホントに魅力的?! 自己PRチェックシート


最後に、効果的な自己PRになっているか、チェックしておきたい項目をお伝えします!
見直しをして、ぜひあなたの魅力が伝わるステキな自己PRを完成させてくださいね。

◆自己PRのチェックシート◆
□子どもへの思いが伝わる内容になっているか
□具体的なエピソードが挙げられているか
□ なぜそう思ったか?なぜその方法をとったか?が説明できるか
□ 自分の経験を自分の言葉で表現しているか
□ 「いろいろ工夫しました」など抽象的な表現になっていないか
□ あれもこれもと複数のエピソードをアピールしていないか
□ あなたではなく、園の取り組みをアピールしていないか
□一人よがりでなく、他者との協調性が伝わるアピールか
□ アピールしたい点を新しい仕事で活かせる場面をイメージできるか

●相手に努力と成長が伝わるように
●その失敗や仕事に対する考え方が想像できるように
●先輩の指導に対する感謝など、人間性が見えるように
…こんなことに注意して書くとよいホィね!
自己PRといっても、謙虚さと積極性が感じられるようなものにしようね。
一度身近な人やキャリアアドバイザーなどに読んでもらってもよいね。

【番外編】面接や採用試験で実技の自己PRってあるの?


保育業界では「自己PR」を面接の場で実際に行うこともあるのでしょうか?
CAに聞いてみました。

「自己PR」として実技を行う園は少ない傾向にあります。
ですが、ピアノ演奏、作文、造形、読み聞かせなどの実技試験を設けているところもありますね。特に幼稚園の採用において実施されることが多いです。

自己PRで嘘をつくのは厳禁。履歴書の自己PRに書いた内容と実技の結果に大きな違いがないようにしましょう。
苦手でも苦手なりに努力が垣間見れたり、「ピアノは苦手ですが、体操には自信があります」などと得意分野でカバーするような前向きな姿勢をみせましょう。

CAより応援メッセージ

自己PRがうまく書けなくても、面接で緊張して言葉が出てこなくなってしまっても、最後は「子どもが好き」と自信をもって言い切ること、そしてその熱意を園に伝えることがとても重要です。

保育・幼児教育の仕事は、日々子ども達の成長に立ち会える素晴らしい仕事。
「子どもが好き!」と熱意あるみなさんを、心から応援しています!

参考文献・サイト

◆転職なら『保育のお仕事』におまかせ!◆

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