就職・転職ガイド

保育士の「求人票」の正しい見方&注意すべき5つのポイント

保育士さんが転職活動をする際、もっとも貴重な情報源となるのが「求人票」です。

応募を検討する際にはかならず目にするこの「求人票」。
みなさんは、その正しい見方や注意すべきチェックポイントをご存じでしょうか。
「もう何度も見ているから大丈夫!」と思ってしまいがちですが、なかには

  • とりあえず給与や勤務地など、自分に必要な項目だけで応募を決めている
  • よくわからない部分があっても、確認しないまま応募している

という保育士さんもいるのではないでしょうか。

今回は「転職を成功させたい!」という保育士さん向けに、正しい求人票の読み解き方と、応募に際して注意しておきたい5つのチェックポイントを紹介していきます!

求人票ってどんなことが書かれているの?

求人票とは、事業者(園)が就職先を探している人(求職者)に向けて公開する、事業者情報や求人内容などのデータのこと。

求人票は本来、職業安定所(ハローワーク)が定めた様式のことを指すため、転職サイトや求人情報誌などでは一般的に「募集要項」「求人詳細」という名称で記載されています。

※この記事においては便宜上、いずれの場合も「求人票」として紹介します

ハローワークの求人票と転職サイトなどの募集要項とでは掲載方法が異なるけれど、どちらも応募に必要な、大切な情報が書かれている点は変わらないホィ!
実際の求人票には、下の表のような内容が記載されているよ!

では、ここからは求人票に記載されている項目の中から、特に注意したいポイントを確認していきましょう!

ポイント①施設形態

「認可保育園」「認定こども園」「小規模保育施設」「院内保育所」など、求人募集園の施設形態が示されています。

施設形態によって園の規模や運営上の特徴が異なるので、きちんとチェックしておきましょう。

たとえば認可保育園なら、多くの場合は日曜や祝日はお休みになるけれど、企業内や院内などでは土日・祝日の勤務や夜勤があるケースもあるよ!
働き方にも違いが出てくるから、見逃さずに確認してね!
それぞれの施設形態の特徴については、関連記事もチェックしてみてホィ!
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ポイント②職種

その求人の募集職種が記載されています。
保育士さん向けの求人情報サイトであっても、ときには「保育補助」「栄養士」「調理員」など保育士以外の職種の求人が掲載されていることもあるので、注意しましょう。

ポイント③応募資格

その求人に応募するにあたって必要な資格・免許や経験などが記載されています。

保育士の求人の場合には、基本的に「保育士資格」を有していることが前提条件となりますが、中には保育補助などの無資格や、資格取得に向けて勉強中の人でも応募できる求人があります。

資格や免許・経験のほか、応募の対象となる年齢の上限などが記載されていることもあるホィ。

ポイント④雇用形態

「正社員(正規職員)」「パートタイマー」「アルバイト」「契約社員」など、採用された場合の雇用形態が示されています。
「常勤」「非常勤」などが補足的に記載されていることもあります。

試用期間が設けられていて、その期間はアルバイトなどほかの雇用形態での契約となることもあるから、「待遇」や「備考」などの欄もあわせてチェックしておくと安心だホィ!
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ポイント⑤給与・手当

転職を検討する保育士さんの多くが気になるのが、この「給与・手当」の欄ではないでしょうか。

求人票において、基本的に給与は額面で記載されています。
「額面」は事業者から支給される1ヶ月あたりの「総支給額」のことで、金額が決まった諸手当(住宅手当や家族手当等)のほか、残業代などの変動手当もすべて含まれています。

実際の手取り額は記載されている金額から社会保険料(健康保険料や雇用保険料)、住民税・所得税などを差し引いた金額となります。注意しましょう。

めやすとしては、額面から20%ほど差し引かれた金額が手取り額になると考えておくといいホィね。

額面以外の記載方法もあるので要注意!

額面での給与提示が基本ではありますが、園によって給与の記載方法はさまざまです。
次のような記載方法もありますので、よく注意して、不明点は面接の際に確認しましょう。

基本給

基本給は、通勤手当や残業手当、住居手当といった各種手当を除いた1ヶ月分の賃金のことです。

残業代や賞与のほか、退職金制度がある場合、そのベースとなる基本賃金はこの「基本給」となります。
額面と同様、社会保険料等の天引き前の金額となりますので、実際の手取り額は「(基本給)+(各種固定手当・変動手当)-(社会保険料・住民税・所得税等)」となります。

固定給

固定給とは、毎月決まって支給される給与のこと。金額が固定された各種手当が含まれます。

残業手当については月ごとに変動するため含んでいないことが多いですが、あらかじめ給与のなかに「固定残業代(みなし残業)」が含まれている場合などもあるため、確認が必要です。

固定残業代(みなし残業)とは?

ひと月あたりの給与額に、一定時間分の残業手当が含まれていることを示します。
事業者によって「何時間分の固定残業代が含まれているのか」「金額がいくらなのか」は異なりますので、よく確認しておきましょう。

ちなみに、月あたりの残業時間が少なかった場合でも、固定残業代は変わらず支給される仕組みだホィ。
ただし、所定の時間を超過した場合には、別途残業代が支払われるホィ。
園によって異なるけれど、みなし残業時間が長く設定されている場合には、日常的に残業が発生してしまっていることも考えられるよ。
「勤務時間は長いのに、みなし残業代を含んだ給与のため収入が少ない……」というような不満にもつながりかねないので、月あたりの残業時間のめやすは、入職を決める前にチェックしておくと安心だね。

日給月給制

月単位でもらえる給与額が決まっているものの、欠勤や遅刻・早退の場合には一定の割合で給与が減額されるケースです。
ただし、祝日や有給休暇などで勤務日数が減ったとしても、金額は減額されません。

とくに記載がない場合でも、現在ではこの「日給月給制」を導入している事業者が多いホィ。

手当にはどんなものがあるの?

基本給に加えて受け取ることのできる手当には、次のようなものがあります。

労働基準法で支給が義務付けられている手当
残業(時間外)手当 1日あたり8時間を超える労働に対して付与される
休日手当 休日労働に対して付与される
深夜労働手当 22時~5時の深夜労働に対して付与される

参考:東京労働局『しっかりマスター労働基準法ー割増賃金編ー』(2020/6/16)

そのほかの手当
家族手当 配偶者や子どもの扶養にかかる費用負担に対する手当
住居手当(家賃手当) 居住費負担の軽減を目的とした手当
資格手当 特定の資格・免許を有することに対する手当
職能手当(能力手当) 保有する技能等に対する手当
役職手当 リーダー・主任などの役職に対する手当
通勤手当 通勤にかかる交通費を支給するための手当(一部上限がある場合もあり)
皆勤・精勤手当 無遅刻無欠勤など、優良な勤務姿勢に対する手当
処遇改善等加算 勤続年数やキャリアパスに応じて支給される手当(国による処遇改善政策)
そのほかにも、自治体や園独自の手当が支給される場合もあるよ!
各自治体や事業者のホームページ等でチェックしてみるといいね!
手当の有無は、明確な決まりがあるわけではなく事業者によって「付くかどうか」が異なるホィ。
また、付与基準もさまざまなので要注意だホィ!

ポイント⑥就業時間(勤務時間)

従業員が業務にあたる「就業時間」を示す項目です。

保育施設では、さまざまな保育ニーズに対応するために長時間の保育に対応していることも多く、求人票には勤務時間全体が表記され、その勤務時間の範囲内で「シフト制」の勤務を行っているケースが多くあります。

勤務時間の記載例
  • 7:00~20:00(休憩60分/実働8時間のシフト制)
  • 早番/7:00~16:00・中番/9:30~18:30・遅番/11:00~20:00(休憩60分)
  • 7:00~20:00のうち週40時間勤務
日常的に発生する「残業(時間外労働)」は、基本的に就業時間には含まれないホィ。

残業がある場合には別途めやすの記載があるか、記載がないケースもあるので確認が必要だホィ!

就業時間(勤務時間)は、その園が開園している時間とは異なる場合も多いから注意してね!
いっぽうで、開園時間と就業時間が同じ記載の場合は、準備や片付けのために実質上すこし勤務時間が長くなっている可能性もあるから要チェックだよ!

ポイント⑦休日・休暇

子ども主体

保育施設の運営にあわせて、さまざまな休日体制があります。
記載方法もまちまちなので、違いをきちんと認識しておくことが大切です。

よく見る休日記載の例は以下の通りです。

完全週休二日制 いずれの週もかならず2日休めます。
一般的には土日休みを指すことが多いですが、シフト制などの園の場合はその限りではないので、きちんと確認しておきましょう。
週休二日制 1ヶ月のうちに1週でも2日休める週があれば「週休二日制」になります。
「1週だけ土日休みで、あとの週は全部土曜出勤あり」といった職場でも週休二日制と記載できるため、完全週休二日制と間違えないようにしましょう。
4週8休制 4週間のうちに、8日間休みがあることを示します。
1週間あたりの休みが定まっていないため、週によっては1日しか休みしかないなど、変則的な働き方となるケースがあります。
年間休日〇日 月単位ではなく、年単位での休日を記載しているケースです。
週休のほかに夏季休暇・年末年始休暇などを加えた合計日数となります。ちなみに土日祝日すべて休みの場合、年間休日はおおよそ120日です。
(祝日が土日に被ることなどがあり、年によってばらつきがあります)
月8~10日 1ヶ月に8日~10日休めます。
実際にどのような出勤シフトになるのかは、希望する園によって異なるため確認が必要です。

休日と休暇の違いは……?

「休日」が労働者である保育士さんが労働の義務を負わない日なのに対して、「休暇」は労働日であっても事業者がその義務を免除する日のことを言います。

基本的には法律で定められている「法定休暇」と、事業者や園が独自で設けている「特別(任意)休暇」があります。

法定休暇 ・年次有給休暇
・産前産後休暇
・子の看護休暇
・育児休暇
・介護休暇 など
特別(任意)休暇 ・リフレッシュ休暇
・慶弔休暇
・夏季休暇
・バースデー休暇 など
年末年始休暇や夏季休暇は職員が交代で取得していることが多いホィ。
「かならず元旦やお盆の時期に休みがとれる」という意味ではないことが多いから、確認が必要ホィね!
年次有給休暇以外については、有給扱いにならないことも多いよ。事業者によって異なるので、よく確認してね!

ポイント⑧待遇・福利厚生

お泊まり保育成功

社会保険や賞与・昇給、交通費の支給などについて書かれています。
退職金制度などがある場合も、この項目に記載されていることが多いでしょう。

社会保険

「社会保険完備」と記載がある場合、以下の4つに加入することができます。

雇用保険

失業した際に、一定の条件下で失業給付が受けられる保険です。
法律によってすべての事業者に加入が義務付けられています。

労災保険

業務中・通勤途中に怪我をしてしまった場合に、保険金が支払われる保険です。
法律によってすべての事業者に加入が義務付けられています。

厚生年金保険

老後に国民年金の「老齢基礎年金」に加えて、「老齢厚生年金」が支払われる制度です。
一定基準以上の障がいが残ったり、亡くなったりした際には、従業員や遺族に保険金が支払われます。

健康保険

病気や怪我の際に、3割(70歳未満の場合)の医療費負担で医療機関の受診ができる保険です。

基本的に社会保険には強制加入となるけれど、厚生年金保険・健康保険について完備していない事業者の場合には、保育士さんが自分で国民年金保険や国民健康保険に加入する必要があるホィ!
保育のお仕事」は社会保険完備の求人だけを取り扱っているよ。安心してお仕事探しできるね♪

賞与・昇給

賞与がある場合や昇給制度がある場合には、その詳細や金額等のめやすが記載されています。

賞与

通常の給与のほかに、事業者の利益等にあわせて職員に支払われるものです。

支給の対象になる場合には回数や金額のめやす(〇ヶ月分など)が記載されていますが、かならずしも提示金額が満額支払われるというものではないので、注意しましょう。

昇給

基本賃金が勤務年数等や事業者への貢献度にあわせて、引き上げられることを言います。

賞与と同様に、かならずしも昇給するとは限らず定期的に査定等が行われることがほとんどのため、めやすとして考えるとよいでしょう。

交通費等

通勤に交通費がかかる場合に、事業者が負担しているケースだと記載されています。

事業者によって上限額が設けられている場合や、支給対象となる交通手段に制限があるケースもあるので、とくに遠方からの通勤やマイカー通勤を希望する場合はよく確認しましょう。

その他

事業者ごとに差がありますが、ここまで紹介した内容に加え以下のような事項が記載されます。

  • ユニフォーム等の貸与
  • 家賃補助制度など独自の福利厚生制度
  • 退職金制度
  • 研修制度やキャリアアップ制度について
  • 有給休暇や産前産後休暇等の取得実績
  • 現状での定年年齢
  • 試用期間と期間中の労働条件など
細かい事項だけれど、働き続けるうえで大切なことが書かれているから、しっかりチェックしてね!

こんな「ブラック」な求人に注意して!

お悩みの女性

数ある求人票の中で注意が必要なのは、あいまいな表現が多いものです。

選考のなかで不明瞭な点がクリアにできればよいのですが、あいまいな認識のまま入職を決めてしまうと、あとで「こんなはずではなかった!」と後悔することにもつながりかねません。
以下に求人票のおもなチェックポイントをまとめました。希望条件の部分があいまいに書かれていないか、必ず確認しましょう。

  • 「固定・みなし残業代」が含まれる場合は基本給とのバランスに注意
  • 休日の表記方法に注意
  • 社会保険の有無を確認
  • 試用期間と期間中の待遇を確認
  • 「交通費支給」は上限などの規定を確認
他にも……たとえば「産休育休制度あり」と記載されていても、取得実績がなかったり復帰率が低かったりするケースもあるホィ。
福利厚生制度などは実際に利用できているのか、実績が確認できると安心ホィね!
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転職を成功に導くための求人票の活用法

今回は人票の基本的な記載項目やチェックポイントをお伝えしましたが、自分の満足する転職を実現させるうえでもっとも大切なのは、「求人票に記載されている内容を理解したうえで、不明点はきちんと確認すること」です。

限られた求人票の内容のなかで、その園のすべての情報を紹介することは不可能。
だからこそ「園や事業者のホームページをあわせて確認する」「応募前に問い合わせを行う」「選考の中で確認する」など、不明点や不安な部分はきちんと確認し、納得したうえで入職を決めるようにしましょう。

希望条件にあわせて自分に合った求人を紹介してくれる「人材紹介サービス」を活用するのもオススメ!
在職中で忙しくてもスムーズに求人を探すことができるし、求人票でわからないことがあってもキャリアアドバイザーに質問できるから安心だよ!
サイト上には公開されていない求人を紹介してもらえたり、園の雰囲気など求人票だけではわかりにくい部分を教えてもらえたりするから、キャリアアドバイザーには積極的に希望条件を伝えておくといいホィ!

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編集者より

転職活動ではかならず目にする「求人票」。

何気なくチェックしてしまいがちですが、ここまで記事を読んでくださった保育士さんには、働くうえで重要なことが非常に多く記載されていることがお分かりいただけたことでしょう。

転職は誰にとっても人生における大きな転機。
求人票を正しく読み取ることで、あなたにとって納得のいく転職の第一歩が踏み出せることを願っています!

参考文献・サイト

  • 東京労働局 東京ハローワーク「求人票の見方」(2016/6/22)

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